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出雲大社のアレ

さわ様がブログで不審疑問に思っておられた、出雲大社の参道脇にある無駄に大きい目立つ割には意味不明なブロンズ像についてご説明いたします!

ホントは拍手でこっそりお知らせしようかなぁと思ったんですが、知らない方も多いかもしれないと思ったのでこちらで書いてみます。
さわ様、勝手に乗っかってスミマセン(汗)

大国主が大きく手を広げて、向かい側には波に乗った黄金の球体がある、という、想像しただけでもなかなか「絵になる」場面です。
(※見たことない方はさわ様がブログに写真を載せていらっしゃるのでご参照下さいませ!)
…ですが「絵になる」割には、知名度は著しく低いというのがまさに玉に瑕なわけですね(^_^;)
出雲大社に行くと毎回他の参拝者の方の多くが、あれだけ目立つのにまったく意味が分からないと言っているのをよく聞きます。
私も正直初めてあれを見た時はまだ神話にはハマっていなかったので当然意味が分からず、一緒に行った友達と

「ちょwあれwゴールデンボール!ゴールデンボール!

と下ネタで爆笑していました。(サイテー)
近くに寄って石板に説明が書かれているのを読んだんですが、それでもまったく知らない神話で、意味もよく分かりませんでした。

「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」って??

ちなみにこの時一緒に行った友達は、今NG部屋で使っている写真素材のサイトを運営しているカズヨシさんです。
二人とも下ネタもオタクネタもシリアスネタもいける腐れ縁の関係です。
趣味が一度も被ったことないのによく続くものだと感心します。

さて、あのブロンズの正体ですが、実は古事記にも載っている大国主神話のワンシーンです。
あのシーンは大国主神話の中でもかなり最後の方に出てくるシーンです。
大国主は、実は一人で国造りをしたわけではありません。
始めはスクナヒコナという、手のひらサイズの神様を相棒として国造りを行っていました。
この二人の名前は万葉集の歌にも出てくるので、おそらく当時は誰でも知っている神話世界の名コンビだったのだろうと思います。
しかし、この名コンビに突然の別れが訪れます。
スクナヒコナが粟の穂にはじかれて、海の向こうの常世の国に行ってしまい、そのまま戻ってこなくなってしまったのです。
突然の相棒の喪失に大国主は大変ショックを受けます。
一人では国造りはできません。
肩を落とした大国主の前に、しかし、救いの手が差し伸べられます。
それが、あのブロンズのシーンです。

大国主が悩んでいると、海から光を照らしてやってきた神様がいました。

時に海を照して依り来る神あり
吾在るに由りての故に汝その国造りの大業を建つるを得たり
吾は汝が幸魂奇魂なり
大国主神かれ吾が幸魂奇魂なりけりと知りぬ

いきなりやってきて「俺はお前の幸魂奇魂だぞ」とか言われてもよく分かりません。
解釈はいろいろあるのですが、一般的には大国主の別の姿と言われています。
このいきなり現れたドッペルゲンガー(?)は、自分を大和の三輪山に祭れば、国造りは上手くいくと予言します。
これが大和の三輪山の大物主(おおものぬし)です。
大物主と大国主の関わりはこれだけしか語られていないのですが、大物主自体はその後の古事記中巻以降にもしばしば名前が登場します。
また、大物主は大国主と同じ神だという主張もあります。
さらには、始めは別の神だったけれど、大国主と同じ神ということにしてしまったという主張もあります。
ホントにいろんな解釈がありますねぇ。

と、いうわけで、あれは幸魂奇魂のシーンを表現していたのでした!
みんな知らないですよねこの神話!
あんなに目立つブロンズなのに、どうしてこんなにマイナーなシーンを採用してしまったのかとかなりツッコミ入れたい気持ちにもなりますが、まぁ、あれを見て疑問に思った人の何割かが神話を調べるきっかけになれば、それはそれで意味があるのかなぁとも思います。

因みにこれを書いた後日「幸魂奇魂」についての話題を拍手で振っていただけたので、ノリに乗って書いた記事がコチラです。

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