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阿苑で

久しぶりに阿苑。

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「(・・・ん?何だ、あれ。鈴か?)」
「・・・・・・・・・・・・・」
「(鈴は何をしてるんだ、あんな柱の陰で)」
「・・・・・・・・・・・・・」
「(もしかして・・・あれは隠れているつもりなんだろうか)」
「・・・・・・・・・・・・・」
「(どうやら隠れているつもりのようだ。でも何のために隠れているんだ?随分こちらを窺っているようだが、おれから隠れているのか?どうして・・・おれは何かしたのか?何も心当たりはないぞ。・・・くそ、こういう場合おれはどうすればいいんだ!まったくわからない!鈴はどうして隠れているんだ)」
「・・・・・・・・・・・・・」
「(・・・とりあえず、知らないふりをしておくことにするか。目をそらせば鈴は何か行動するかもしれない。よし、背を向けておこう)」
「!・・・・・・・・・・・」
「(動いた!・・・近づいてきている)」
「・・・・・・・・・・・・・」
「(真後ろの柱の陰に隠れたな。ここからどうするつもりだ?動きは読めるのに、目的がまったく読めない!どうす・・・)」
「えい!」
「なっ!?」
「だーれだ!」
「・・・・・・・・・・なにしてるんだ、鈴」
「まあ!どうしてわたくしだと分かったの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・まあ、なんとなく」
「残念だわ。折角頑張ったのに。やはり藤太のようにうまくはいかないのですね」
「藤太?藤太が何か言ったのか?」
「この間藤太が千種さんにやっていたのよ。武蔵では『目隠し』というのでしょう?千種さんは子どもの遊びと言っていたけれど、おもしろそうだったからわたくしも阿高にやってみようと思ったのです」
「・・・なんだ、そういうことか」
「阿高?嫌だった?」
「え・・・別に、嫌ではないが、少し肝を冷やした」
「まあ!それでは成功ということね!やったわ!それではさっそく他の人にも・・・」
「待て」
「え」
「他のやつにやってはだめだ」
「あら、どうして?」
「・・・ひとことで説明するのは難しいが、いろいろと障りがあるんだ。とにかく他のやつにはやめておけ。おまえの相手ならいつでもおれがやってやるから」
「そうなのね。分かったわ。ありがとう阿高」
「ああ」

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阿高は鈴が危ない行動(阿高的に)をとる前にしっかり止めます。