磐姫の嫉妬(追加)@八田若郎女・その1
- 2011/09/29 02:35
- Category: 趣味>古事記
時間がかかってしまった・・・!
磐姫の嫉妬@八田若郎女です!
若干復習も含めつつはじめます!
磐姫は仁徳天皇の皇后でしたが、大変嫉妬深いと有名なお方でございました。
それは自身が史上初めての皇族以外から立った皇后だったからという理由も大きく関わっていることと思われます。
天皇が他の妃と言葉を交わしただけで「足もあががに」暴れる磐姫の嫉妬物語。
此れより
後 、大后 豊 楽 祭り・宴したまはむと為 て、御綱 柏 祭りに使う神聖な柏を採りに、木 国 に幸行 でましし間 に、天皇八田 若 郎女 と婚 ひたまひき。
皇后が宴の準備のために外出している時、夫は他の女に手を出していた!
コラ!
磐姫がいる時はまともに他の女と会話も出来ない状態なので、仕方ないといえば仕方ないのですが。
磐姫が帰ってきたらどうするつもりだったのでしょうか。
既成事実で押し通すつもりだったとか?
それとも秘密にするつもりだったとか?
まぁ男の浮気は見破られるのが物語の常というものですが・・・。
続きを見ましょう。
是 に大后、御綱 柏 を御船に積 み盈 てて(いっぱいに積んで)、還 り幸 でます時、水取司 (飲み水を司る役所)に駈 使 はゆる、吉備国の児島の仕丁 役人、是 れ己 が国に退 るに、難波の大渡に、後れたる倉人女側近の女の船に遇ひき。乃ち語りて云ひしく、
「天皇 は、此日 八田若郎女に婚 ひたまひて、昼夜 戯遊 れますを、若 し大后 は此 の事聞 し看 さねかも、静かに遊び幸行 でます」
といひき。
仕丁
「大君は今、八田若郎女という女に夢中ですよ。そりゃあもう昼夜なくイチャつきまくり!このこと磐姫さまはご存知なんでしょうかね?」
倉人女
「・・・ちょっとあんた、そこ、詳しく教えなさいよ」
ソッコーばれたよ!\(^o^)/
アノ嫉妬深くて有名な磐姫さまがおとなしくしてるなんてありえねぇ!とでも思われてたんでしょうか。
少なくとも名もない役人にまで響き渡る皇后の嫉妬深さはかなりのものですね。
「
では続き。
爾 して其の倉人女 、此の語る言 を聞きて、即 ち御船に追ひ近づきて、状 を具 さに仕丁 の言 の如く白 しき。是 に大后大 く恨み怒りまして、其の御船に載せし御綱柏は、悉 に海に投げ棄 てたまひき。故 、其地 を号 けて御津前 と謂 ふ。
磐姫
「御綱柏がたくさん積めたわ。これで宴も成功間違いなしよ。ふふふ♪」
倉人女
「皇后さま大変です、ヤツがまた浮気しました」
磐姫
「御綱柏全部海に捨てておしまい(噴火)」
ちょww
やること極端ですよ姫さま(そこが面白いんですが)
個人的な感想ですが、古事記の磐姫の話の中で、この八田若郎女の話が一番痛快だと思います。
本人たちにとってはもちろん笑い事じゃないんですが、この上演を宴会で見ていた人たちはきっと笑い転げていたのでは?と思ってしまいます。
このコミカルな調子はこの後も続きます。
浮気を知った磐姫の次なる行動は・・・
即ち宮に入り
坐 さずて、其の御船を引き避 きて、堀江に泝 り、河の随 に山代 に上 り幸 でましき。此の時歌曰 ひたまひしく、
つぎねふや山代 河 を
河上 り我 が上 れば
河の辺 に生 ひ立 てる
烏 草 樹 を烏 草 樹 の木
其 が下 に生 ひ立 てる
葉 広 斎 つ真 椿
其 が花の 照りいまし
其 が葉 の広 りいますは大君 ろかも
とうたひたまひき。
即ち山代より
廻 りて、那 良 の山 の口 に到り坐 して歌曰 ひたまひしく、
つぎねふや山代 河 を
宮上 り我 が上 れば
あをにより奈良 を過ぎ
小楯 倭 を過ぎ
我 が見 が欲 し国 は葛城 高宮
吾家 のあたり
かく歌ひて還 りて、暫 し筒木 の韓 人 、名は奴 理 能 美 が家に入り坐 しき。
磐姫
「もうあんな浮気者の顔なんて見たくないのよ!」
・・・と言ったかは分かりませんが(笑)、磐姫は難波の高津宮を素通りして山城国に行ってしまいました。
途中の風景を眺めて若干夫を思い出しつつ、「わたしが見たい国はさらにこの先にある、実家の葛城国なのよね」と歌っているところからして、怒りはまったく治まっていないようです。
ちなみにはじめの歌は天皇を褒めているように訳されることが多いのですが、個人的には「
一応歌の全訳を載せておきます。
(花
川を上り わたしが上っていくと
川の岸辺に 生え立つ
その下に 生い立つ 葉の広い 清らかな椿
その花のように 輝いていらっしゃって
その葉のように
(花
皇居をさしおいて上り 私が遡っていくと
(
(小楯のような山の)大和を過ぎ
わたしが見たい国は 葛城の高宮の
わたしの家のあたり
今日はここまで!
次回は皇后の暴挙を知って焦った仁徳天皇から入ります!