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官能部部誌感想その一

忙しい年の瀬、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
長いことお返事関係以外で日記を書いていなかったら、日記の書き方をすっかり忘れてしまっていたようで、書き出しを考えるだけで30分くらい浪費してしまった兼倉です。(なんてこった)
書きたくなったら書けばいいなんていうのは文章作成が神レベルに慣れている人にだけあてはまることで、そうでない凡百の民たる私のような人間は、無理にでもある程度定期的に文章を書いていないと恐ろしいほど文字が出てこなくなってしまうというのを身をもって実感しました。
今後はもっと日記を書きたいと思います。

そんなわけで!
「官能部部誌その2」
の発行を記念して感想を書かせていただきます!
まだ手に入れておられない方は先に上記のリンクからどうぞ。
ネタバレ部分を含みますので、以下畳ませていただきます。

官能部部誌感想その一@渡部ひのりさん

<過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜の 君と絡める指先凍え>

部誌の巻頭に飾られていたのは渡部ひのりさんの現代和歌でした。
まず、直接夏とせずに「猛き季節」と表現しておられるところに注目しました。
ただの季節としての夏が過ぎたのではなく、夏にこの二人の間に猛るような何かが起こったことを暗示している気がしたのです。
もしかして、二人の関係(恋)が始まったのが夏だったのかも。
猛る思いが生まれた夏から季節は移り、冬、二人の関係は少しずつ縮まってきている。
寒いけど、でも相手に直接触れたくて凍えるのを承知で手袋なんかしないで素手で手をつないでいるのでしょう。
いいなあ!こういうの!初々しい必死さに私は萌え狂いました。まあ完全なる私の妄想なのですが。(知ってます)
また、和歌は言葉が少ない分、ほんのちょっと言葉を変えるだけで雰囲気がガラッと変わるのが魅力の一つであると思っています。
いくつか見てみましょう。

「過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜の 凍える指先君と絡める」
「過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜に 凍える指先君と絡めた」
「過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜 君と絡める指先凍え」
「過ぎ去った 猛る季節を偲ぶ夜は 君と絡める指が凍えた」

どうでしょう。
結構違いますよね。
実は私の祖父も和歌を嗜んでいるのですが、和歌を詠む人はあの短い言葉を編み出すのに、裏でかなりの推敲を重ねています。
松尾芭蕉なんかも弟子に何度も相談していたという記述が残ってますね。
数限りなく存在する表現の中で、詠み手の方がなぜこの言葉をこの順で選んだのか、自分でいろいろ読み替えて比べてみるとさらに和歌の味わいが増すとともに、詠み手の方のこだわりや個性が見えてきてさらに面白いのではないかと思います。
渡部ひのりさんがこの和歌を編み出すのにどのくらい推敲をされたのか、または一発でこれしかないと思い定める言葉だったのか。
ちょっと聞いてみたいですね。
私自身は歌詠みではありませんが、自分の文章でもこだわる個所はかなり推敲を重ねますし、またその作業がすごく好きです。
何度も推敲を重ねた結果結局初めに書いたものを採用することも多々ありますが(苦笑)、推敲している最中は自分の中のすごくすごく深い部分を探っているような気がして面白いんです。
みなさんはどうですか?

長くなってしまったのでいったん切ります。
続きは明日にでも!