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ゲド戦記を読み終わって、原本(英語)に興味を持った話

題名について書く前に。

明けましておめでとうございます!(衝撃の2月)

そして、拍手たくさんありがとうございます!
前回12月から全く動きが無かった間にも、ポチポチ頂けていて本当にうれしいです。
特に、私が誤って記事を消してしまったと追記を書いた直後に拍手を頂いていて、もしかしたら傷心の私への慰めなのだろうかと勝手に解釈して心が温まりました。
このブログには優しい方ばかりが来てくださっていて、こんなに幸せを感じられる場所が持てることを心から誇りに思います。
本当に、いつもありがとうございます。


さて、題名の内容についてです。
実は、昨年終盤にゲド戦記をついに全巻読み終わり、もう少しゲド戦記の世界に浸りたい気持ちがあったので、夏ごろに購入していた「ゲド戦記研究」という本を読み始めました。
この本はゲド戦記についての論考をまとめたものなのですが、内容は専門的な知識がない私でも楽しく読めるのです。
読んでいて、ところどころに原語(英語)の引用がありました。
もちろん邦訳も併記してあるので、読み進めるのには何の支障もありません。
始めのうちは気にせず飛ばし気味で(英語苦手なので)読んでいましたが、一つの言葉に目が釘付けになりました。

様式の長(the Master Patterner)

・・・な、なるほどーーーー!!!(衝撃)

ゲド戦記をご存じない方には一体私が何に驚いているのかお分かりいただけないかもしれません。
登場人物の中に、九人の賢人が出て来るのですが、私にはこの「様式の長」だけが何をしているのか圧倒的に分かりにくかったのです。
他の長は以下の八人です。

呼び出しの長
手わざの長
姿変えの長
風の長
薬草の長
名付けの長
詩の長
守りの長


ゲド戦記を読んだことがなくても、名前だけでどんなことに秀でた賢者なのか、何となく分かりますよね。
ちょっと分かりにくいのは、名付けの長と詩の長でしょうか。
それも、ゲド戦記の世界が「真の言葉」を基盤とした魔法の世界(日本の言霊とほとんど同じ考え方です。真の言葉によって物を操ります。だから自分の本当の名前を人に明かすことは禁忌です)であることを知れば、何となく予想できるかなと思います。
それぞれ

呼び出しの長=ものや人を呼び出すことに長けている
手わざの長=ものを直したり作ったりすることに長けている
姿変えの長=変身する(人間だけでなくあらゆる動物になれる)ことに長けている
風の長=風を操ることに長けている
薬草の長=薬草の知識に長けている(医者のような立場も兼ねる)
名付けの長=ものの真の名前(魔法をかけるのに必ず必要)の膨大な知識を持っている
詩の長=世界に伝わる膨大な量の詩(内容としては歴史も含む?)の知識と朗唱に長けている
守りの長=ローク学院の門番。中に入れるかどうかを判断する。(ローク島の守りの要的な役割?)

です。
何となく名前から役職が分かる気がします。
でも、様式の長って?
始めはマナー的なことを学院生たちに教えるのかと思いきや、そうでもなく。
それどころか、ローク学院にすら普段は近づきません。
いつも、普通の人は入れない迷いの森という場所で、一人世捨て人見たいな生活を送っている人です。
一体何に長けているの?どんな知識を探求しているの?
読んでいても正直全然わかりませんでした。(でも結構重要人物)

それが、原語の表記を見て分かったんですよ!

The Master Patterner

パターンのマスター!
パターンのマスターだったんだ!!
だから、やたらと葉の落ちた影や木々のさざめきを気にしてたんだ!
そのパターンから自然の何か力?を読み解こうとしてたんだ!
ゲド戦記の世界観ともぴったりです。

この発見をしてから、もしかして、日本語よりも英語の方が分かりやすいところがあるのでは?と思って、もう一度英語部分を見てみると、邦訳は結構意訳している所があることに気づきました。
特に、6巻それぞれの副題は、意訳というよりもはやオリジナルに近いものもありました(全部ではない)


1 影との戦い
A Wizard of Earthsea

2 こわれた腕環
The Tombs of Atuan

3 さいはての島へ
The Farthest Shore

4 帰還
Tehanu

5 ドラゴンフライ アースシーの五つの物語
Tales from Earthsea

6 アースシーの風
The Other Wind



1245巻はほぼ別物ですね。
3巻はほぼそのままです。
6巻は違う感じもしますが、内容を読んだら「うむ」と思わなくもない気がします(曖昧)。
個人的感想としては、1巻の「A Wizard of Earthsea(アースシーの魔法使い)」は、英語そのものが最高に格好いいと思いました!
始まりの物語の題名として、これほど簡潔でこれほど胸をわくわくさせる題名があるだろうか!?と、いうくらい好きです。
3巻は「The Farthest Shore(最も遠い岸)」ですが、これを「さいはての島へ」と訳す言葉選びが本当に素敵だと思いました!
意味もほぼそのままだけど、直訳よりずっと物語っぽい題名で、私はノートに何度も書いてしまいました(漢字練習のごとく)(違うんです。噛みしめたかったんです)


と、いうわけで、私は現在ゲド戦記の英文にハマっています。
とりあえず、今のところは論文の中に引用されている原作の文章やル=グウィンさんのインタビュー文などをゆっくり訳して味わっているだけです。
特に目標もなく、満足したらやめようくらいしか考えていません。

でも、今、人生で初めて英語が輝いて見えます。(※フォント名ゴールド)


昨今日本の教育についていろいろ批判があるのは少しは見聞きしていますが、それでも私は言いたい。
私が学生時代に与えていただいた教育の機会に心から感謝します。
当時は英語苦手だったし、古文も全くダメだったけれど、それでもダメなりに教育として触れさせて頂けていたからこそ、大人になってから自分で取り組んでみようと思うことができました。

ありがとう、教育の制度。
ありがとう、制度を作って下さった方々。
ありがとう、制度を引き継いでくださった方々。
ありがとう、私の学びを導きや叱咤激励、合いの手などで助けて下さったたくさんの人たち。


ここまで書いておいてあれなんですが、先日もツイッターで「八尋」とか「筒緒」とか「潮満」とかのネタに勇んで食いついていくくらいには、当然のように古事記も勾玉三部作も大好きですので、たぶんこのブログもそんな感じで進んでいきます。
私はいつも好きなことを好きなように好きなだけすることが好きなんですね。(堪え性がないだけです)


追記
オロチさがしの記事が復活できたーーー!!!
バックアップを懸命に探したら出て来ました!
大した記事でもないのですが、個人的には無くしていた宝物が出てきた気持ちです。
うれしい。
ご心配下さった方(おられないかもしれませんが)、スミマセンでした、そしてありがとうございました(涙)
もう一度探してみようと思えたのは拍手をいただけたおかげでした。

読んでいます「忘れられた巨人」

まず私信を

>ドンマイです!
ふがいない私にエールをありがとうございます!
気持ちだけで続いている燃えカスのようなサイトですが、今後もしばらくはひっそりとくすぶり続けようと思います!


さて、先日から読み始めた「忘れられた巨人」です。
ツイッターではネタバレ感想を少しずつ投稿しています。
数日休んでは数十ページ読んで、また少し休む、みたいな読み方をしているのでかなりゆっくりペースで進んでいます。
ゆっくりな分、いろいろ考えてしまったりもしています。
ファンタジー楽しいです。
あと、これの直前に、以前ツイッターで迷っていたら琴さんが「面白かったですよ」と背中を押してくださった「神ノ恋ウタ」も読みました(一冊目の方)。
空色勾玉と同じ題材だったこともあり、空色勾玉熱が再燃しました。
月代王の方がより一層冷たく、伊布夜尊の方がより粘着質だと思いました。
表現を変えるなら、月代王の方が良くも悪くもより神様っぽくて、伊布夜尊の方が良くも悪くもより人間臭さがある感じでした。
とりあえず、この作品で一番いい男はどうあがいても真鳥だと思いました。
真鳥は死んだ恋人を思い続けつつ、冷静さと優しさをもつ男でした。素晴らしい。
真鳥とその彼女(名前不明)はきっと「勾玉の世界」で描かれた柾と奈津女のような二人だったに違いないと思って自分を慰めておきます。
・・・おかしい、忘れられた巨人について書こうと思っていたはずが・・・(いつものこと)
映画化するらしいので、アクセル目当てに見にいきたいです。
まだ読み終わってませんが、アクセルの妻への優しさにメロメロになりつつあります。
まだまだ序盤なのですが、できればこのアクセルの優しさだけは最後まで変わらないでほしいです。

お久しぶりです

お久しぶりです。
まさか一か月以上もご無沙汰してしまうとは。
ひとつ前の記事でNGライフについて書いた直後にNGサイトから拍手を下さった方ありがとうございました!
こんなに早いご反応があろうとは・・・!(気付くのとお礼が遅れてしまってスミマセンでした!)
NGライフは本当に愛されている作品なのだなあと実感しました。
私も好きです!!
年に一度のいい夫婦の日が近づきつつあるので、何かちょっとでもできたらいいなと思います。(薄紅も)


7月半ばに放送された「白熱教室」という番組をご覧になられた方はおられるでしょうか?
「白熱教室」は毎回いろんな分野の第一線で活躍している人が大学などで学生や一般の方々を対象に公開講義?を行っている内容です。
海外(アメリカ?)の番組ですので言語は英語ですが、吹き替えで放送されているので私のような日本語しか分からない人間にも優しい作りです。
私は基本的には理系的な話題のときだけ録画しているのですが、7月半ばに放送されたのは「文学白熱教室」と題して日系イギリス人の作家「カズオ・イシグロ」さんが出演しておられたので、軽い気持ちで録画予約をしました。
しかし日常でテレビをほとんど見ない人間なので、この番組を見たのはやっと先月の中頃。
遅いと思われることでしょうが、この時のHDの中にはまだ5月に録画したものが未視聴のまま残っておりました。
私のテレビ生活はそんなテンポなんです。(今は最古は6月になっています)

「カズオ・イシグロ」さんといえば、最近りんこさんがサイトで読んだと書いておられた「忘れられた巨人」が最新作です。
番組ではそれについても触れておられましたが、メインは

どうして人はフィクションの物語を書くのか?読むのか?

というテーマを「記憶・感情・嘘」というキーワードで語っておられました。(※このキーワードは私が勝手に抜き出したものです)
学術書やエッセイ(随筆)など、事実を書いたり読んだりするのは分かりやすく実利に適っている。
では、どうして嘘と分かりきっている小説などの物語を書くのにこんなに力を注ぎ、またそれを嘘と分かっていながら読む人がこんなにたくさんいるのか?
始めはテーマの確信に触れる内容からは程遠い話を延々されているように思えて中々入り込めなかったのですが、終盤にかけて一気にそれらすべてが絡み合って結論に至りました。
さすが小説家という感じでした。
ここでは過程を省いて(ごめんなさい)結論だけ書くと

感情を記録するために書く。そしてそれを共有するために読む。

ということでした。
この結論はすごく興味深いと思いました。
ここ何年も歴史や古典に興味を持ち続けてきた私にとっては非常にタイムリーな話題です。
歴史を元に物語を創作する、あるいはそれを読むという行為において、どうしても切り離せないのが「史実との齟齬」です。
「年号が違う」「年齢が違う」とか「史実ではこの人物の事績ではない」「この言葉は仏教用語だからこの時代の人物が使うのはおかしい」とか、とか。
リアリティーの追求をどこまで拘って書くのか(または読む作品に望むのか)。
究極的に追及してしまうと、書くのも読むのも歴史書(あるいはそれに準ずるもの)だけになります。
では、創作(フィクション)が担うものとは?それを読みたいと思う欲求は何なのか?

くっっっっだらない!

と、思う方もおられるでしょう。
私も心からそう思います。
そんな小難しいこと考えて小説や漫画を読んでなんかないよ、と。
そうです。確かにそうなんです。でも。
でも、一方で、どうしても拘らざるを得ない自分もいて、無駄と思いつつもジレンマをかなり長く引きずっています。
今も完全に解消しているわけではないのですが、このカズオ・イシグロさんの「感情を記録する」というお話は、そんな私のジレンマをかなり緩和してくれました。
そして確かに私は前から「1300年も前の万葉集で詠まれた歌が今の人たちと変わらない感情を伝えてくれるのがとても面白い」と思っていたこと、もっと遡ると「空色勾玉」を読んだ直後に聴講しにいった弥生時代の講義で「こんな場所で、狭也が笑っていたのかもしれない」と胸を躍らせていたことを思い出しました。
「感情」は昔と今を、時を越えて繋ぐものかもしれない。
いや、越えるものは時だけではなく場所だったり人種だったり性別だったり思想だったり常識だったり。
そういういわゆる「壁」のようなものは、事実では当然越えられない(努力して近づいたり譲り合ったりすることはもちろん可能だし必要なこともある)けど、「嘘」にはそれを悠々と越える(あるいはその「壁」がそもそも存在しないこととする)力がありますよね。
つまり、物語あるいは神話などには、そういう役目があるのかなと。
少なくとも私が物語を読みたいと思う欲求の根っこの部分にはそういう期待があるような・・・(たぶん)

なにが言いたいかというと、つまりは「感情を記録する」ということをここしばらくずっと考え続けていましたということなんです。
う~ん・・・未だ森の中です。

(追記)
もう一度見返したら表現がちょっと違っていました。
「感情を記録する」→「心情を伝える」
「(感情を)共有する」→「人間としての感情を分かち合う」
ここで訂正しておきます。
上を書き直そうかとも思ったのですが、私の中ではそういう風に理解したという意味でそのままにしておこうかと思います。
また、この番組を字に起こしておられる方のサイトを見つけました。
興味のある方は こちら へ。

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2021/05/09 13:07 兼倉(管理人)