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『あいつらの一人』と阿高

お久しぶりです。
唐突ですが、このサイトは2010年11月22日に開設いたしました。
つまり、一昨日が誕生日だったわけです。
・・・過ぎてしまった、二日も!
いい夫婦の日でもあるし、本当は22日限定で何かできたらいいなと思っていたんですが、まったくできないまま終わっていきました・・・無常。
今年は荻原規子先生デビュー30周年の節目の年でもあるので、この波に何とか乗っていきたい、隅っこでもいいから!
と、いうわけで、とりあえず最近考えている薄紅天女妄想語りを投稿しておきます。


最近私がとても楽しく考えているのは、苑上が竹芝に住むようになって数年~数十年くらい経った頃にポツリと

「阿高は今、『あいつらの一人』にもどれて、幸せですか」

と訊いたら何と答えるだろうということです。(苑上はそんなこと訊かないかもしれませんが)
『あいつらの一人』というのはもちろん阿高が藤太の怪我と千種の名前を呼んだ一件でショックを受けて雨の中

「おれは、なぜあいつらの一人ではいられないんだ」

と言ったシーンを受けてのことです。
苑上はこの時の阿高を、望みをなくし、自分をすり減らしているように感じていました。
竹芝にもどってきたことで、苑上から見れば阿高はあの時なくした望みを再び手にできたように思える(茂里はもどってないのかもしれないけれど)ので、ある日朗らかに笑う夫を見ていて、ふと、あの時泣いていた顔を思い出して何の気なしに訊いてみたりする・・・かも?(しないかも)

・・・いや、正直に言おう。
私が訊きたい!(知ってた)

あくまでもmy設定ですが、あのセリフは逆に彼らの一人ではない自分を自覚していたからこそ出てきたのではないかと思っています。
藤太や広梨ならこんな言葉は絶対出てこない気がします(「こんな力いらない。昔のおれにもどしてくれ」くらいかな)。
「あいつらの一人」である自分を強く意識して、そうではない部分を阿高自身が排除して生きていたことを感じさせるセリフ。
普通は、逆ですよね。
自分を自分たらしめているものは何かを探しながら生きていくのが人だと思います。
性格診断のサイトが流行ったり、適性診断が大学の職安で行われていたり、自分探しの旅に出る人がいたり、多かれ少なかれ一度は自分の個性について向き合ったことが誰しもあるはずです。
でも阿高は逆に没個性を望んでいて、「あいつらの一人」ではない自分を必死に見ないようにしていました。

「おれは、なぜあいつらの一人ではいられないんだ」

このセリフを言った阿高は、間違いなく「あいつらの一人」ではない阿高ですね。
そしてそのセリフを聞いていたのは同じく「あいつらの一人」ではない苑上でした。
・・・ここが、熱い!(ハイハイ)
苑上の前では「あいつらの一人」ではない自分を出せた!
そして、人ですらなくなった阿高を苑上は追いかけてきてくれて、「あなたは物の怪ではなかったわ。大切なものを持っているもの。そのために心を痛めているもの」と言ってくれた!
阿高はそんな苑上に「おれが少しは物の怪と違うものになれるとしたら、おまえがいてくれたせいだ」と返す!
・・・なんだこの最高の展開は。
おっとつい浸ってしまいました。
阿高はずっと「あいつらの一人」ではない部分を否定的に考えていたはずですが、ここで苑上に肯定的に受け入れてもらえたのはとても大きなことですね。
自分の中に、自分自身が否定的に考える部分を持ったまま生きるのは辛いことです。
だってやっぱりそれも自分なので。
苑上はそんな阿高の否定的な部分を初めて肯定的にとらえてくれた人でした。
これがもっと阿高が幼いころにあったことなら、それは単なるきっかけで、阿高はその後人間的に幅広く真っ直ぐに育っていったのかもしれませんが、阿高はある程度成長するまでこの少し歪んだ感覚を持ち続けていたので、もはやそういう部分も含めて阿高の個性となってしまっていると思うのです。
何が言いたいかというと、この否定的な部分を今後も受け入れていくためには、苑上が必要!なんじゃないかな・・・(弱腰)

というわけで、はじめの部分に戻りますが、結論として

「阿高は今、『あいつらの一人』にもどれて、幸せですか」

という問いには、阿高は『あいつらの一人』ではもうなく、今確かに幸せだけれど、それは『あいつらの一人』にもどったからじゃなくて、あいつらと一緒に苑上がいてくれるからなんだよ、ということを苑上に伝えたいんですね、私が
SSにしようかとも思ったんですが、阿高がこのあたりをちゃんと説明してくれなさそうだったので私が勝手に暑苦しく語ったのでした(いらないお世話ですね、ハイ)。

私は相変わらずほとんど毎日薄紅天女やらそれに付属するあれやこれやを楽しく妄想しています。
私が毎日楽しく生きるきっかけを下さった荻原先生に篤く御礼申し上げるとともに、デビュー30周年を心よりお祝い申し上げます。


末尾になりましたが、先日拍手より驚異の11連パチを下さったお方ありがとうございます!
何の更新も出来ていないのに、単パチや2連パチを下さる方がちらほらいて下さって本当にありがたいです!!
今後もこんな感じで何の動きもないと思いきや、思い出したように熱く語り出すと思いますので、気が向いたときに覗いてやっていただけると嬉しいです。
またのお越しを心よりお待ちしております。


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