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「苑上」と「鈴」

初読時から気になっていたことの一つに、阿高の「鈴」呼びがあります。
阿高は本人から直接名乗られているので当然彼女の本名が「苑上」であると知っています。
しかし作中では一度も「苑上」と呼んでいません。
二次創作的には様々な角度から(文学的にも歴史風俗的にも単なるオタク萌心的にも)様々に妄想できるオイシイ命題ではあるわけですが、そんな風に第三者としての視点からの解釈ではなく、肝心の阿高の視点に立った解釈はどうなるのでしょうか。
阿高の中で「苑上」という名はどんな意味があるのか。
実は今回の祭り小話にもそのさわり程度のネタを最後にちょっとだけ覗かせているのですが、それ以外にも水面下で幾つか書いてみようとしてはいます。
しかし全く納得のいくものが出来ない。
自分の中でうまく練り切れていないせいなのですが。
あとそれに付随して、大した疑問でもないですが、藤太や広梨は鈴が「苑上」という名前であったことを知っているのかどうかも若干気になっていたりします。
帝や皇子と違って政治的にはそうそう話題に上ることはないと思われる皇女という存在。
百歩譲って中央に関心が高かった茂里は知っていたとしても、藤太や広梨は寺で田村麻呂少将が教えない限りは知らないのではないかと思うのですがどうでしょう。
本文を読む限り、教えた形跡は無いような気がします。
で、このことを拡大解釈するなら武蔵で「苑上」の名前を知っているのはひょっとして阿高だけということになるかも!?
鈴は武蔵では「苑上」とは名乗らないでしょうし(た、たぶん・・・)、そうなると鈴本人に直接「苑上」と呼びかけることが出来る人物はこの世で最早阿高一人しかいないことになるような気がする!?・・・・・・・ていういことを思いついた時点でかなりブワッと妄想が広がるわけですね。
というわけで、これに関してはもうちょっと練ってみたいと思います。(懲りない)