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スサノヲとアマテラス

ウダウダしててもしょうがない!
楽しいことを考えるぞ!

というわけでまた古事記語り始めますよ!

古事記を読んだことがない人でも、この二人の名前くらいは聞いたことがあるはず。

スサノヲアマテラス

この二人の関係は「弟と姉」であったり「国つ神と天つ神」であったり「無秩序と秩序」であったりと様々に論じられておりますが、そもそも古事記にはいったいどのように書かれているのかというところから見てみたいと思います!

1.誕生
2.すれ違い
3.和解と決別


という順番の内容で追っていきます。
因みにこの3つの副題は私が勝手につけてますのであしからずご了承くださいませ。
では1.誕生

(イザナキは妻のイザナミと決別し、黄泉国で汚れた体を清めるために、筑紫の日向でミソギをする。その時さまざまな神が化成し、最後に最も貴い三柱の神を得た)

ここに、左の御目を洗ひし時に成れる神の名は、天照大御神
次に、右の御目を洗ひし時に成れる神の名は、月読つくよみ
次に、御鼻を洗ひし時に成れる神の名は、建速須佐之男たけはやすさのを

俗にいう三貴子(さんきし)の誕生です。
イザナキの左目から「アマテラス」が、右目から「ツクヨミ」が、そして鼻から「スサノヲ」が現れます。(※建速というのは勇猛で勢急という意味です)
・・・スサノヲ鼻からかよ・・・と思う方もいらっしゃるかもしれません。
学者さんの中にもいらっしゃいます。
これについては色々な説があります。
正直私も、どう考えても「左目からアマテラス、太陽神」と「右目からツクヨミ、月神」の方が対象性があってすんなり納得いくと思います。
これに鼻から生まれる子どもとか加わらない方が神話的には綺麗だと。
で、とある学者さんの説は「スサノヲは後から付け加えられた神で、原神話(もとの神話)ではアマテラスとツクヨミだけだった」というのです。
つまり、スサノヲのポジションは元々ツクヨミだったのではないかという論です。
実際、この三柱の神様の中で圧倒的に知名度が低いのは二番目に出てきた「月読命(つくよみのみこと)」ですね。
古事記ではこの後父イザナキに「夜の支配する国を治めてね」と言われて以降は、一切出てきません。
まさに夜の闇のように謎の神です。
この神が本来もっと活躍するはずの神話が昔はあったのかもしれない・・・という人もいます。
真実は分かりませんが・・・。
続きをみてみます。

この時に、伊耶那伎命、大きに歓喜よろこびてのりたまはく、「は子を生み生みて、生み終へに、三柱のうづの子を得たり」とのりたまひて、即ちその御頸珠みくびたまの珠の、もゆらに取りゆらかして、天照大御神に賜ひてのりたまひしく、「汝が命は、高天原を知らせ」事依ことよして賜ひき。(略)次に、月読命に詔ひしく、「汝が命は、夜の食国を知らせ」と事依しき。次に、建速須佐之男命に詔ひしく、「汝が命は、海原を知らせ」と事依しき。

イザナキ
「アマテラスは特別に珠をあげるよ。高天原を治めてね」
「ツクヨミは夜の支配する国を治めてね」
「スサノヲは海原を治めてね」

いわゆる「三貴子分治(さんきしぶんち)」の段です。
アマテラスだけエコ贔屓(笑)で宝(珠=八尺瓊勾玉やさかにのまがたま←後の三種の神器の一つ)を貰っています。
この辺りからもこの後アマテラスが特別な神様となっていく(皇祖神)布石が見て取れますね。

あ、ちょっと脱線します。
私の個人的な好みなんですが、この「夜の食国」という表現が無茶苦茶格好いいと思ってます!
「食す」「おす」と読みます。(旧仮名遣いなら「をす」
「夜の食国」「よるのおすくに」と読むんです。
「食す」とは「統治する」「治める」「支配する」という意味です。
「夜の食国」・・・「夜の支配する国」・・・「夜の食国」・・・格好いいッ・・・!(はいはい)
数年前、島根県で神話関連の行事のポスターに「神の食す国」と書かれていたときもかなりテンション上がりました。
格好いいです!ホントに格好いい!
・・・個人的な好みの話でスミマセン。
なお、この時代の表現では他に「知らす」「見る」「聞こし召す」なども全部同じ意味を含みます。(「見る」は「国見」などで今でも残っている表現ですね)
「食す」も含めて全部「他物」を体の「内部に取り入れる」という意味から「治める」という意味をもつ言葉として使われたのではないかという指摘は「古事記伝」本居宣長が行っています。
本居宣長はご存知江戸時代の国学者であり、近世以降で本格的に古事記を研究した始めの人です。
今の古事記研究の祖ともいうべきお方です。
古事記研究が今の隆盛を迎えられたのは宣長さんの功績によるところが大きいです。(※江戸時代には古事記は読むことが出来ない書物になっていましたが、宣長が訓読と訓注を行って世に広めました)
宣長さんありがとうございました!

ってなところで、一旦区切ります。
また後ほど。