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日向神話~前置き(出雲国譲り)~

それでは始めます!日向神話!!
・・・と、その前に。
実はこの日向神話は、直前の出雲神話最後の「出雲国譲り」から直接話が繋がっているんです。
なので本題に入る前に、「出雲国譲り」神話を簡単にみておきましょう。

このころ大国主はスクナヒコナや大物主とともに作り上げた国で家族とともに楽しく生活していました。(たぶん)
しかし、そんな安穏とした生活も長くは続きません。
ことの発端は高天原の最高神・天照大御神の一言でした。

天照大御神の(みこと)(もち)て、
豊葦原千秋長五百秋水穂国(とよあしはらのちあきのながいほあきのみずほのくに)は、()御子(みこ)正勝吾勝々速日天忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)の知らさむ国ぞ」
と、(こと)()(たま)ひて、天降(あまくだ)しき。

天照「葦原中国は私の息子のオシホミミが治めるべき国よ」

なんということでしょうか。
天照はいきなり大国主が作った国を自分の息子に治めさせると言い出しました!
そんなのドロボーじゃないか!・・・と、うろたえる方はもうここにはいらっしゃいませんね。
そうです、葦原中国はもともと天照の領分でした。
ここで何度も繰り返し語ったとおりです。
だから、天照が言うことは正しいんですよ、古事記的には。
もちろんそれを古事記の意図を超えて様々に想像するのは自由です。
古事記はあくまでも史料の一つですから。
でも、古事記自体が語っているのは葦原中国は天照が、ひいてはその子孫である天皇家が治めるのが正しいということです。
これは古事記を読む上で一番大切なことです。
忘れないようにしておきましょう。

さて、前置きなのでここはさらっとあらすじを語るにとどめておきます。
天照に言われてオシホミミは天の浮橋に立って葦原中国を見下ろしてみると、大変なことが分かりました。
オシホミミ「ちょ!葦原中国めっちゃ騒がしいよ!見るからに荒っぽい国つ神がいっぱいいる!こんなとこ治めるなんておれには無理!」
そうなんです。
オシホミミが治めるべき葦原中国はもうめちゃくちゃの状態(にオシホミミには見える)。
天照は八百万の神と相談して、何柱かの神様を遣わして何とかこれを平らげようとします。
さまざまな苦労の末に、最後のタケミカヅチが大国主の息子のタケミナカタを諏訪に追い払って出雲国を平定しました。
大国主は出雲国を譲る代わりに天つ神の御子が住まうような立派な宮殿を建ててもらうことを約束させて、ついに表舞台から身を引いたのでした。
この立派な宮殿というのが、現在の出雲大社です。

この神話を以って、古事記神話全体の四分の一とも三分の一ともいわれる壮大な出雲神話は幕を閉じます。

さあ!では次は日向神話の始まり天孫降臨(てんそんこうりん)です!
うまいこと静かになった葦原中国に、いよいよオシホミミはやってくるのか。
・・・ご存知のお方はお気づきでしょう。
やってくるのはオシホミミではなく、そのさらに子どもの「ニニギ」です。
天照にとっては孫にあたる血筋。
一体何があったのか。
古事記が天照の子ではなく孫が降臨したと伝えている理由とは。
次回に続きます。