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【補足】荻原作品と万葉集~「RDG」天地の…その一

単パチ、三連パチ、五連パチをくださったお方々ありがとうございます!
好きなことばっかり書いてますが、できれば今後もお付き合いいただけるととてもうれしいです!


今日はホワイトデーですね。
各サイトさまやツイッター上ではさぞかし盛り上がっていることと存じます。
素晴らしいことですね。
しかしそんな甘い空気を切り裂いて「荻原作品と万葉集」シリーズの続きを書く硬派なサイトがこの「干し柿の数え歌」です!(ズバーン)

天地(あめつち)の 寄り合ひの(きは)
 玉の()の 絶えじと思ふ (いも)があたり見つ(作者不明)

天と地とが寄り合う果てのいついつまでも、玉を貫く緒の絶えることのないように、仲は絶えまいと思っている子、その子の家のあたりを今こそ目にすることができた。(訳:伊藤博)

問:この歌は万葉集の中のどんな場所にある歌なのか?

前回から間が空いてしまいましたが、どんな話題だったか覚えていただけているでしょうか(弱気)
荻原先生がこの歌をRDGに採用した理由が「好きな歌の中からちょっと変なものを選んだ」だったということで、どう変なのか?ということを前回意味の上から考えられるものを書いたのですが、今回は、さらにいろいろ調べたら、もう一つ「ちょっと変」なところを見つけたのでご紹介します。

そもそも、この歌は万葉集の中で寄物陳思(きぶつちんし)という分類がされているものの中にあります。
寄物陳思とは文字の通り「物に寄せて思いを陳べる」歌です。
これ、すごく面白いんですよ!
何が面白いって、この寄物陳思に載せられている歌、とにかくいろんなものに寄せて恋の思いを詠んでいるんです。
上記の歌は「玉」に寄せた歌ですが、他に「神」「天地」「海」「川」「沼」「岩」「雲」「雨」「霞」「風」「月」「菅」「草」「蚕」など、とにかく多岐にわたります。
もう何を見ても恋する人のことに繋がるんだねっていうツッコミを入れたくなります!
萌的に大変素晴らしい!
ちょっと話が逸れますが、この寄物陳思の中に「隼人の夜声に寄する歌」というのがあるのでご紹介します。

隼人の 名に負ふ夜声 いちしろく わが名は告のりつ 妻と恃ませ

隼人の夜警の声ですよ!覚えておられるでしょうか!?
以前「日向神話こぼれ話~隼人と隼人舞~」という記事を書いたことがありました。
ここの西郷信綱さんの引用の中に

「諸の隼人等、今に至るまで天皇の宮墻(ミカキ)(モト)を離れずして、(ヨヨ)吠ゆる(イヌ)して奉事(ツカヘマツ)る者なり」

という記述があったのでした!
弟の山幸彦との争いに敗れた兄の海幸彦の末裔である隼人は、子々孫々に至るまで山幸彦の末裔である皇族に仕えることを約束した神話(古事記)は、ここでもご紹介したとおりです。
古事記で知ったことが万葉集でも出てくると、ちょっと得した気分になる私(笑)

おっと、ちょっとどころではなくずいぶん逸れてしまいました。
戻します。
「玉」に寄する歌について、もうちょっと詳しく書きます。
この歌のもう一つの「ちょっと変」なところがこの寄物陳思の分類なんです。
寄物陳思の歌は、その寄せたものの種類によって大きく三つに分類されています。
「神祇部」「天地部」「動植物部」です。
「玉」はこの中でどこに含まれると思いますか?
まずはヒントです。
「玉」は今でいう「真珠」のことです。
この時代「真珠」を作っているのはであることは知られていました。
と、いうわけで、「動植物部」(の動物)に属しているのです!
説明を聞けばなるほど、と思いますが、でも「玉(真珠)」動物に分類されているってやっぱり「ちょっと変」という気がします。

というわけで、この歌の「ちょっと変」なポイントを私なりに調べた結果、

1.意味の上で上二句と下三句にギャップがある
2.「玉」が寄物陳思の中の動植物部(の動物)に分類されている


というところではないかと思いました!
荻原先生が意味する「ちょっと変」とは違う可能性もかなりあると思いますので、ぜひ皆様もいろいろ考えてみてくださいませ。
そして思いついたら私にも教えてください!

さて、前回の最後に「この歌はちょっと変だけで終わる歌ではありません」と書きました。
本当はこの記事でそのことについて書くつもりだったのに、上のことを見つけてしまったのでついつい書いてしまいました。
次こそこの歌のちょっと変だけじゃないところを書こうと思います。
この「玉に寄する歌」は全部で七首載せられていて、この歌はその一番初めの歌です。
残りの六首を読むと、1.意味の上で上二句と下三句にギャップがあるもしかしたら解決するかも?
という感じの内容を次の記事で書きます。