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ヤマタノヲロチ神話!その一~スサノヲ見参!~

ついに語りますヤマタノヲロチ神話!!!
>待ってました!オロチ神話
>楽しみにしています

Rieさま!ありがとうございます!
好き勝手語っているだけですが、こういうお言葉を頂くと有頂天になってしまいます!
それではさっそくいってみます!
場面は高天原を追放されたスサノヲが出雲国に降ってくるところから。

(かれ)、(スサノヲは)()()はえて、出雲国(いずものくに)()河上(かはかみ)、名は鳥髪(とりかみ)といふ(ところ)(くだ)りき。

スサノヲは出雲国の肥の河(現在の斐伊(ひい)川)の河上に降り立ちました。
ところで、どうしてスサノヲが追放されることになったのかはここで語ったことがありますが、覚えていらっしゃる方はおられるでしょうか。
何のこと?とお思いの方は手短かにまとめましたのでこちらをどうぞ。

スサノヲは父イザナキから海を治めるようにいわれました。
しかし、母のイザナミに会いたい一心で年中泣き喚いて国を荒らしてしまいます。
イザナキに諌められますがスサノヲは聞き入れず、とうとう勘当されてしまいました。
スサノヲは母の居る根の国に行くことにするのですが、その前に姉のアマテラスにお別れの挨拶をするため、高天原に上ります。
しかし、アマテラスには高天原を奪いにきたと誤解されてとても挨拶どころではない状態。
スサノヲは身の潔白を証明する誓約(うけひ)を行って、何とかアマテラスの誤解を解きます。
誓約に勝って喜んだスサノヲは、その際の「勝ちさび」の行為を行います。
これが高天原を大いに荒らしてしまい、折角潔白を証明したにもかかわらず、結果アマテラスを天の岩屋戸に引きこもらせてしまうことになってしまいました。
神々の努力でアマテラスは再び高天原に姿を現してくれますが、アマテラスが引きこもる原因を作ってしまったスサノヲは、神々によってヒゲと爪を切られて高天原を追放されてしまったのでした。
詳しくはこのページの「スサノヲとアマテラス」に書いておりますので、こちらも見ていただけると嬉しいです。
あ、このスサノヲが高天原から降ってきたことを「天降(あまくだ)り」といいます。
現代の官僚の関連企業への「天下り」の語源となっています。
さて、高天原から降ってきたスサノヲは、この河で妙なものを見つけます。
続きを見てみましょう。

この時に、(はし)、その河より流れ下りき。ここに、須佐之男命(すさのをのみこと)、人、その河上にありと思ひて、(たづ)ねもとめ上り()けば、老夫(おきな)老女(おみな)と二人ありて、童女(をとめ)を中に置きて泣けり。

この時スサノヲは、箸が河から流れ下ってくるのを見つけた。
それ故スサノヲは、きっとこの河上に人がいるに違いないと思って訪ねていくと、そこには老夫と老女が若い娘を間に挟んで泣いていたのだった。


スサノヲとクシナダの初対面です!
河から箸が流れてくるのを見て「河上に人がいるに違いない」と察するあたりは随分聡いですよね。
ここで箸と書いてありますが、もちろん現代のような割り箸や塗り箸ではありません。
当時の箸は木の枝を削った程度のものでした。
そんな木の枝を見て、スサノヲはすぐに箸だと分かったのです。
兼倉の頭脳派ラブセンサーに引っかかるレベルの聡さです!(どうでもいい)
それにしても、この前の場面(高天原)での蛮行の限りを尽くしていたスサノヲとは随分と印象が違うと思いませんか?
あちらでは田の畝を壊したり、神殿を(くそ)で汚したり、挙句の果てには馬の皮を剥いで機織小屋に投げ込んだり(それに驚いた機織女が死んでしまう)と、本当に高天原にとっては迷惑千万な行いばかりしていましたね。
スサノヲの行動を「蛮行」としてしまう理由を西條勉さんの説に乗っ取って「高天原世界の秩序と根の国の秩序がかみ合わないため」根の国を志向するスサノヲの行動は高天原においては「蛮行」となってしまうと解釈していました。
神様は、その存在が求められる場所とそうでない場所があるようです。
一神教の全知全能の神様とはまた違う日本的な神様のイメージが見えてきます。
・・・余計な話が多くてスミマセン。
でももう一つだけ!
この「ハシ」という音は「繋ぎ結びつけるもの」につけられたようです。
「橋」は川の向こう側とこちら側を、「箸」は口と食べ物を結び付けています。
そういうわけで、ここで「箸」という道具が使われたのは、その後のスサノヲとクシナダを結びつけるための伏線的な役割があると考えると、古事記が俄然面白くなってくるわけですね!(山田永説)
古事記のこういう「仕掛け」は他にもたくさん出てきますので、乞うご期待!

長くなってしまったので続きは次の記事で。