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古事記を読みなおす

折角読み終わったのでちょっとだけ宣伝!

凄く面白かったです!
というか、実は本文を読んでいる間ずっとちょっとした違和感があったのですが、それがあとがきで雲散霧消したっていう・・・!!
なんという三浦節!ほ、惚れる・・・!(自重)
未読のお方でご興味がある方は是非書店で手に取ってみてください!
「古事記入門書の決定版をめざし」た本とのことですので、
古事記にあまり詳しく無い方、
古事記に興味を持っているけど本文には中々手が出ないと思っておられる方、
手軽な古事記入門書をお探しの方、
古代日本史に日々胸をときめかせている方(兼倉)
このような方々におススメの一冊です!
以下、三浦先生のあとがき引用↓


-------おもに上巻の神話を対象とした入門書が多いなかで、古事記三巻を体系的・網羅的に取りあげているというのが本書の売りである。
-------古事記の成立にかかわる部分について、攻撃的な論じかたをしたところがあるが、もちろん意図的である。そうしたほうが反論がしやすいだろうし、議論も活発になるのではないかと考えたのである。
-------はてさて、このあとどのような展開が待っているか。叩かれるのはいやだし不安もあるが、たのしみも大きい。


私も凄く楽しみです!三浦先生ありがとうございました!

オロチについて

さて、昨日書けなかった(眠くて)オロチについてちょっとだけ書いてみたいと思います。

「ヤマタノオロチ」は古事記の中でもかなり注目度の高い存在です。
古事記神話関連の本にはほぼ例外なく登場します。
その解釈は人によっても立場によっても専門や目的によっても、かなり違いはあるのですが、大抵はヤマタノオロチの「物語の中での意味」と「正体」について分析されることが多いようです。
特に正体は幾つかに分類されます。

1.大蛇(古事記にそう書いてあります)

2.川(特に斐伊川)の氾濫の神格化

3.製鉄民族のイメージ

1.については、主に文学的な立場での読み解きによく見られます。
文学的にはその裏にある比喩的な時代背景(儀礼や争い、自然現象など)は必ずしも提示する必要はなく、あくまでも文献自体を主な世界観として捉えるからです。
オロチは古事記で始めは「遠呂智」もしくは「遠呂知」と書かれていてスサノヲが倒した後に、その正体は「大蛇」だったと判明します。
つまりオロチは、倒される直前まで「正体不明の化け物」だったわけです。
倒したことによって初めて正体が分かるのです。
よって、始めにアシナヅチが説明した「オロチ」という言葉自体は大蛇という意味ではないのです。
あくまでも「正体不明の化け物」として「オロチ」という言葉を使っています。
文献によっては始めからオロチに大蛇という字を当てて書かれているものもあるのですが、本来は倒す前は正体が分からないわけだから、こう書くのは適切ではない、という考え方があります。(ex「作品」として読む古事記講義)
※私の個人的な想像ではオロチの「オロ」は朧(おぼろ)に通じていて、「チ」は知という字を当てられてはいますが、これはあくまでも音だけの表記であるとして知ではなく力(=霊力としての力)の「チ」で、「オロチ」は「正体は朧気で分からない、(霊)力の強大な存在」という意味かな、と思っています。
何の根拠も無い推量ですが(^^;)、そう考えると音からもすんなり入れる気がしています。

2.はかなり一般的な説のようです。
私が読んだ本ではほぼ90%くらいこの説を肯定していました。
そして、この説を採用するならオロチを倒したスサノヲは治水工事を行った人ということになります。
元々斐伊川は地質学的にも度々氾濫を起こしていたことは確かなようです。
そして、人々は被害に遭いながらも、同時に肥沃な土を運んでくれる斐伊川のお陰で豊かに暮らしていたのだろうと推測しています。
世界の古代文明が大河のほとりで花開いたことを考えれば、斐伊川の流域に出雲王国が繁栄を築いたのも納得できることです。
そして、そのような畏れと感謝の気持ちが、ヤマタノオロチ伝説を長く語り継ぐ土壌となったのかもしれません。

3.も多くはありませんが、根強い説のようです。
一番の根拠は、オロチの姿かたちにあります。
まず、体(腹)が血で真っ赤にただれていること。
これはタタラ製鉄の際の炎や真っ赤に焼けた石および流れ出した鉄を表していると考えられます。
次に、目が赤いこと。
製鉄をするには長時間火を見つめ続けなければなりません。
そのため、その長である村下(ムラゲ)は目が瞑れてしまいます。
余談ですが、このため製鉄民は天目一箇神(あめのまひとつのかみ)という一つ目の神を信仰しています。
この神様は古事記には出てきませんが、「古語拾遺」、「日本書紀」、「播磨国風土記」にその記述を見ることが出来ます。
また、「出雲国風土記」にも「一つ目の物の怪」が出てきます。
これは阿用の地名起源の部分に出てくる化け物で、農作業をしていた男がこの化け物に襲われて食べられている時、男の両親が竹やぶの中に隠れているのですが、両親は恐れおののいて震えてしまい、竹やぶがかさかさと音を立ててしまいます。
男が食べられながらも必死に「動々(あよあよ)」と言ったので、この地名は阿欲(あよ)となり、現在(風土記の当時)は阿用となったとのことでした。
余談が長くなってしまいました。
このことから、オロチは製鉄民族(製鉄の技術を持って攻め入ってきた民族)と農耕民族(土着の民族)の争いをあらわしている、とも言われています。

オロチ伝説はいつの時代に誰によって作られたのか分かりませんが、その解釈の多様性はとても面白いと思います。
また、語り継いできた時代や人々によって様々に変質したり別の意味を持ったりしていた可能性もあります。
そういうことを想像するのはとても楽しいですね!

ちなみに、上で出てきた「出雲国風土記」(古事記や日本書紀と近い時代に編纂された出雲のお国紹介的な書物)にはなんとこの「オロチ伝説」は載っていません!(その筋のお方々には有名なことらしいですが、私は知りませんでした)
他のスサノヲ関連の神話や国譲り神話は載っているんですけどね。

「出雲国風土記」には古事記には無いとても勇壮な「国引き神話」や大国主命関連の話や当時の人々の暮らし(食べ物とか地名とか色々)も載っているので読んでみるとすごくすごく面白いです!(薄紅創作の参考にもごにょごにょ)
現存する風土記の中では唯一の完本でもあるので、そのあたりもすごく興味深く見ています。

今後とも出雲に大注目です!

大神神社

去年の9月に奈良旅行に行ってきたときに参拝した「大神神社」。
この「大神神社」は古代史関連の本を読んでいるとかなり頻繁に出くわすわけですが(そして古代史関連のサイト様のブログを読んでいてもかなりの人がよく参拝していらっしゃるようですが)、これがナチュラルに「おおみわじんじゃ」と読めるようになったころからたぶん引き返せないあたりまで来てしまったような気がします。(古代史関連の本や旅行に費やしたお金的な意味で)
知らない人・・・というか、古代史にはまる前の私は確実に「おおかみじんじゃ」もしくは「おおがみじんじゃ」と読んでいたでしょうからね(^_^;)
逆にこの神社を正しく読める人は地元の人以外ならかなりの高確率で古代史好きにひっかかる気がします。
また行きたい!
奈良旅行は定期的に行いたいです。
今度は長岡京巡りもしたいなぁ・・・(お金も暇もないのに夢だけは捨てきれない往生際の悪さ)

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