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磐姫の嫉妬+α(完成)

さてさて前回予告しました磐姫の嫉妬の話でオギワラーなら外せない話題をやりますよ!
まずはそこまでのあらすじをダイジェストでお送りします。

黒日売をうまく追い返した磐姫ですが、今度は自分の不在時に夫がまんまと別の女(田若たのわか郎女いらつめ)を宮に招き入れてしまいます。
しかも相手の女はよりにもよって皇族(仁徳天皇と腹違いの妹)です。
臣下の娘である磐姫よりも断然に血統のいい女。
これにぶちギレた磐姫は、祭りの準備のために集めた神聖な柏をすべて海に投げ捨てると、宮に戻るどころか、そこを避けて通り過ぎてさらに奥の山城国まで行ってしまいました。
「上様、上様の行状が皇后様にばれました」
「・・・え」
「皇后様はたいそうお怒りで、ここ難波を素通りなさいまして、その先の山城国に籠ってしまわれたとのことです」
マジで!?
「しかもそこで歌われた御歌では、『わたしが見たい国はさらにこの先にある、実家の葛城国なのよね』とのたまわれたそうでございます」
!!!

さあ大変。
仁徳天皇はすぐに使いを向かわせ、すったもんだの末に最後には自ら迎えに出向き、それでようやく許してもらいました。
なお、八田若郎女は身を引くことになってしまったわけですが、その後も仁徳天皇は彼女に未練ったらしい歌を送っております。

////////////////////////////////

さて、すったもんだの仁徳天皇と磐姫ですが、仁徳天皇はまた懲りずに別の女に目をつけます。
しかもまた皇族の女「女鳥王めどりのみこ」。
あーあ、また磐姫の逆鱗に・・・とは、私でなくても当事者たちが一番最初に考えること。
早速本文を見てみましょう。

また天皇すめらみこと、其のおと速総別王はやぶさわけのみこを以ちなかひろ仲立ちて、庶妹ままいも女鳥王めどりのみこひたまひき。しかして女鳥王、速総別王に語りて曰はく

「大后イハヒメこはきに皇后の嫉妬深さのため、八田若郎女を治め賜はず宮に召し上げられないかれつかへ奉らじと思ふ。いまし命のに為らむ

といふ。

「兄上がおまえを召し上げたいとの仰せだ」
「嫌よ。八田皇女のことは今や有名な話だわ。私もきっとそうなるでしょう。それくらいならいっそあなたの妻になるわ
「・・・え!?」


臣下(弟)を迎えにやらせたら娘がそっちの嫁になっちゃった!
どっかで聞いたことのある話ですね。(ex.ヤマトタケル)
古事記には巻を跨いで相似性のある話が幾つか収められているようですが、これもその一つに上げられます。
この後速総別王は仁徳天皇に報告せず(できず?)、勝手に女鳥王と結婚してしまいました。
一方、弟からの連絡がないので、痺れを切らした仁徳天皇は自分で女鳥王の元へ出向いていきます。
しかしここで女鳥王本人から速総別王への思いを明かされ、それを思いやって身を引くのです。
なんと、意外に理解があるみたいですよ。
このまま幸せに終わるのかと思いきや、しかし、周りがそれを許しませんでした。
仁徳天皇に「速総別王と女鳥王は謀反を考えている」との噂が伝わってしまいました。
女を取られるくらいなら許せるけれど、流石に謀反は見過せません。
仁徳天皇は二人を殺すために兵を差し向けます。
続きを見ましょう。

しかして速総別王・女鳥王、共に逃げ退きて、倉椅山くらはしやまにのぼる。是に速総別王歌ひ曰く、

 はしての<枕詞> 倉椅山を さがしみと
  岩かきかねて岩に手をかけられないで 我が手取らすも

また歌ひ曰く、

 梯立ての 倉椅山は 険しけど
  いもと登れば さがしくもあらず

其地そこより逃げせ、宇陀うだ蘇迩そにに到りし時に、いくさ追ひ到りて、殺す。

以下、「空色勾玉」文庫版P.439、l.1~9より引用
 二人は、足場が狭いため、座ることもできないままに、立ちどまって休まなくてはならなかった。狭也は岩に頭をもたせかけてひと息ついたが、急に自分たちのしていることがおかしくなった。稚羽矢は空を舞う鳥を目で追っていたが、彼女が小声で笑いながらつぶやくのをきき、ふり返った。
「今、なにか言った?」
「――いもと登ればさがしくもあらず」
狭也はくり返したが、稚羽矢がとまどうのを見て説明した。
「かがいの歌のひとつよ。どんなにけわしいやまも、あなたといっしょなら険しくありません、という歌なの。いい歌でしょう?みんな、よく歌っていたわ」


狭也が稚羽矢をむかえにいって帰ってこようとしている場面ですね。
この後月代王がやってきて狭也を攫っていく場面につながります。
そういえば「カガイ」という漢字が変換できなかったのでひらがなになっていますが、ご容赦の程を。

古事記の方では、速総別王が歌を歌って女鳥王を励ましながら逃げますが、とうとう追いつかれ、今の奈良県宇陀郡曽爾村の辺りで殺されてしまいました。
二人の謀反の意思が真実だったのかどうか、真相は闇の中です。
なお、この話には続きがあります。
この追っ手の軍勢の将軍は、殺した女鳥王の腕に巻いていた高価な玉釧たまくしろを奪い、自分の妻に与えました。
後日、妻がその玉釧をつけて宮の集まりに参内します。
その日、磐姫は自ら御綱柏みつながしわ(酒を盛る柏葉)の杯を手にして、各氏族の女たちめいめいにお与えになっていましたが、件の玉釧をつけた女には柏の葉を与えず、すぐに退席させてしまいました。
そして彼女の夫を呼び出して、

「女鳥王は不敬であったから、天皇はこれを退けられた。これは間違ったことではない。けれども、おまえは、自分の主君(※ここで女鳥王を男の主君と呼んでいるのがよく分かりません。皇族なので直接の主でなくても主君と呼ぶのかなと考えてみたのですが、どなたかご存知の方がいらっしゃったらご一報よろしくお願いします)が御手に巻いた玉釧を、死んですぐ肌もまだ温かいうちに剥ぎ取ってきて、すぐに自分の妻に与えるとは!」

といって、直ちに死刑にしてしまいました。
この話を読むと、磐姫は嫉妬だけの皇后ではなかったんだろうかと思いました。
罪があるとはいえ、皇族への態度を厳しく戒めているところは、皇后としての磐姫の矜持を強く感じます。

さて、古事記本文の磐姫の話はこれで大方終了なのですが、今回はいつもよりもちょっと突っ込んだ解釈もみてみたいと思います。
ただ本文読むだけでは正直発表の方が不安でならないわけですよ!(ビビリ)
いろいろ聞かれたときのために、少しでも磐姫についての情報や解釈を仕入れてみようと思います!
磐姫の話、あと1回お付き合い下さいませ~!

ありがとうございます!!!

14時台と17時台に拍手を下さった方ありがとうございます!
更新日にいただけるのは本当に凄く凄く嬉しいです!!
しかも17時台の方は連続で・・・!ありがたやぁぁ!!
今のところ伊勢妄想はあれの解釈が私の中の最新です。
まだまだ練りこめていないところはありますが、今後ももっさり書いていきたいと思っておりますので、よろしければお付き合いの程何卒よろしくお願いします!
拍手ありがとうございましたあああ!!!

お返事です・その85&ありがとうございます!!!

なかの様

ようこそお越しくださいました!
あ、粗茶ですが・・・つ[麦茶]<日中の暑さがまだまだ厳しいですね・・・

>こちらこそ、リンクありがとうございます!

うあああ!
元々私の一方的な滾りによるリンクなので、まさかお返しにリンクしていただけるとは思っておらず、本当に本当に嬉しかったです!
実生活がお忙しそうですが、創作活動がそのいい息抜きになるよう全力で応援させていただいておりますので、どうかなかの様のペースで創作活動をお続けいただければ、オギワラーとしては本当に嬉しいです!
うちのサイトは薄紅メインですが、私自身は三部作と風神がっつり大好き派なので(どんな派閥)、その方向からも応援させていただきたいと思います!是非ー!

>SSいつも楽しませていただいてます。藤千、阿苑ともにとてもかわいらしく気持ち悪いほどにやにやしながら読んでいます。

おお!(震)
駄文ですこぶる空回っているものばかりでお恥ずかしい限りです・・・(アウアウ)
とりあえず、好きですという気持ちを主張できればいいんだというコンセプトでやっておりますので、その中で少しでも気持ちが伝わるものがあればいいのですが・・・。
かわいらしいといっていただけてガッツポーズです!
むしろそれしか考えていないというか・・・!(←あ・・・)

応援のお言葉が心に沁みます。
本当にありがとうございます。
是非これからも仲良くさせてやってくださいませ!
なかの様の新作とまたのお越しを心よりお待ちしております!

紺屋きぬ様
ようこそお越しくださいました!
なんときぬ様もこんにゃくゼリー好きでしたか!
それではこれを!つ[蒟蒻畑『梅』味]<では一緒に夜明けのこんにゃくゼリーを・・・!(一人でやれ兼倉)

>兼倉さんの書かれる小説の、鈴のかわいらしさ、いじらしさ、阿高のあの繊細な顔かたちに似合わず、やることはワイルド(かつヘタレ)という所がツボです!

みんな恥ずかしいやつらでスミマセン!(いい笑顔で)
私が恥ずかしいことばっかり考えてるせいですスミマセン!(反省しましょう)
本来阿高はもっとサバサバしてて相変わらず藤太や他の男友達と仲良くするはずだし、藤太ももっと明るく一本気なやつだってことは分かってるんですよ!
自分でも流石にこれはどうなんだ・・・と思っているところもたくさんあるのですが、どうにも修正することが出来ず、逆に悪化しながら今に至ります。(駄目な人)
開き直れたらいいんですが(いいのか)、未だに更新すると同時に全削除してトンズラしたいほど恥ずかしい心地になります。
いつか悟りが開ける日はくるのか・・・(煩悩塗れの悟り)

>伊勢関連の小説のその壱のオマケで、阿高が去り際に唇を奪ってしまうところなんか、何回読んでニヤニヤしてしまったかわかりません。
そのほかの竹芝あたそのでも、隙を見てはチューチューしてるのが最高に萌えます!


颯爽と乙女の唇を奪う阿高へのラブコールありがとうございます!
あの話は元々阿高に「じゃあこれも忘れるなよ」と格好良く言わせたくて書いたのですが、出来上がってみたら思いの外ラブ度が高く(当サイト比)なってしまって、書いた私自身が動揺してました。
あの時点の阿高はまだ恋愛的なものは上手く自覚出来ていないと思われるので、私の中ではもしかしなくてもちょっとやりすぎた感じの話と思っていました。
なのでコメントをいただけてとても嬉しかったです!
受け入れていただけてよかった!
しかしまぁウチの夫婦はホントにチューばっかりですね。
これは他の方からもご指摘を頂いたことがあって、私もこういう安易な方法に頼るのも如何なものかと思っているのですが、指が勝手に。(何言って)
もっと効果的な場所でここぞという時に使えたらいいのですが、指が勝手に。(また)
もう最近は逆にチューしてても甘くない話とか書いたほうがいいのかと本気で考えています。(こうして方向性を見失う)

>伊勢関連ではちょこっと出てくる賀美野も好きです。

ありがとうございます!
これはもう素直に嬉しいです!(他も嬉しいんですが)
あの話はずっと「賀美野を格好良く賀美野を素敵に賀美野を(ry」と念じながら書いたので、お陰でよりにもよって阿高の影が非常に薄くなっていますが(致命傷)、もうあれは賀美野のための話ということにしたいくらい賀美野万歳の気持ちが入っています。
年齢的には子どもだけれど、その立場や後のことを考えると、やはりそれなりの片鱗は見たいと思ってしまったのです。
賀美野は間違いなく良い男に成長するはず!
成人した賀美野が見てみたい!

>また、籐千のドSな籐太がすごく新鮮で、新しい扉が開けそうになります。あぶない…

開けてもよろしいのですよ・・・!!!
スミマセン、ちょっと動揺しました。
いやでも開けて頂きたいです是非!
きぬ様の藤千(藤太ドS)とか拝謁できた日には私もうそのまま昇天しても悔いはないです・・・!
無理にとは申せませんが、もし、今後ほんの少しでも興が乗ることがございましたら是非とも!

>兼倉さんの書かれる小説は、登場人物の感情がどれも鮮やかで、読んでいてドキドキします。

感情表現に頼ってばっかりで情景描写とか場面転換がすこぶる苦手です!(バレバレでんがな)
ああああ鮮やかなんてそんなおおううおおう(動揺)
むしろきぬ様のコメントに私がドキドキしっぱなしですうおうおうお!(落ち着け)
できればもっと当時の世相とか風俗とかを取り入れた話を目指したいのですが、まだまだ力不足で仕入れた知識がまったく活かせていません。
この辺りの勉強とかもっと頑張りたいです。
とはいえ感情表現にはいろいろ思い入れがあったり思いを馳せたりすることが多々あるので、たぶん今後も傾向としてはあまり変化はないかもしれません^^;

>ブログの古事記関連のお話も、大変勉強になります!
>全くその方面には詳しくないのですが、兼倉さんの語り口によって、平面的にとらえていた人物が立体として浮かび上がってくるような気がします。


なんという最上級の褒め言葉を・・・!
立体的に捉えるというのは私が普段からもっとも心がけていることです。
書物の中のものをどうやって浮かび上がらせるかが、私の中では最終目的となっています。
最低でも三つの視点(歴史文献学・考古学・国文学)で一つの物事を見ると随分肉厚になると思いました。
これに民俗学が加わると、過去の一時代だったものが、現代と繋がる過程として見えてくる(ような気持ちになる)のが分かってきました。
とはいえまだまだ勉強不足の勘は否めないのですが・・・(積読本だけで床が抜けそうです・・・)
・・・学問名で書くとすごく堅い感じになりますが、

文献学・・・その当時の世相、時事
考古学・・・土器とか家の形式とか身近な道具とか、手で触れるもの
国文学・・・価値観、心の動き、その当時の人が何に笑って何に泣いていたのか
民俗学・・・時代も国も関係なくいろんな神話伝承を集めて比較検討する、その民族独自の受け継がれてきた伝統(日本人っぽいとかイギリス人っぽいとか)が分かる

みたいな感覚で読むと本当に面白いです。
ここで浮かび上がってきた物事を、小説や漫画なんかが一気に身近なところに持ってきてくれるような気がします。
そういう関係が面白いし、創作される方々の手腕とこの分野の可能性に思いを馳せずにはいられません。
まぁこれもまた魅力の一部分でしかないと思っていますが^^;

物凄い長い返信になってしまってスミマセン・・・!
自重の仕方が分かりません!(オイ)
そういえば、狭也票が初めてだったなんて・・・!
一番最後でもずっとずっと待っております!
きぬ様の麗しの狭也姫様・・・!<●><●>カッ
コメント本当にありがとうございました!
私またきぬ様のサイトにお邪魔させていただいて自重できぬ阿呆コメントを残してしまうかもしれませんが、何卒お許しを!
きぬ様のまたのお越しを心よりお待ちしております!



Rieさま
スミマセン・・・!(初っ端から謝る兼倉)
あ、お茶を・・・つ[麦茶]

本当にスミマセン・・・!

>そんな…!
>ノリがよすぎる大御神と不埒な幸せを願う面々に、わき腹が痛くなりました。


大御神は女神のこと以外は割りとどうでもいいお方なので、月代のこともあまり深く考えていらっしゃらないものと思います!
輝一家は放任主義です!
姉だけがちょっと弟に手を出していますが、基本は照日も家族以外はどうでもいい(父親似)ので、科戸のことはスルーです。
科戸がんばってね!(何を)

>さりげなくよい話のまま、余韻をもって終わりそうなところがこわいです。

荻原ワールドではよく「女装したら幸せになれる魔法」が掛かるので、科戸もそれに則ればきっと幸せになれるはずです。
私はそう信じています。
なお、月代の新居はちーさやの御所の隣なので、お互い子どもの成長を暖かく見守るご近所付き合いをするといいのではないかと思います。
月代と科戸の子どもは月代が科戸の勾玉(翠)を噛み砕いて生みます。
めでたしめでた・・・


私何書いてるんだ!?
ちょっと戻って来れないところまで行ってしまったような気がしますよ!
助けてRieさまあぁぁぁ!


////////////////
10日の21時台と22時台に拍手を下さった方ありがとうございます!
なのにまたもや遅れてしまって本当に申し訳ございませんでした!!(ズザザー)←スライディング土下座
なかなか思うように行かない部分もありながら、それでも好きなことに邁進していきたい気持ちを捨て切れません・・・。
こんなぐだぐだな人間ですが、もしよろしければ今後もお暇な時に構ってやって頂けるととても嬉しいです!
拍手ありがとうございました!

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