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出雲に行ってきました

今日(もう昨日ですが)出雲に行ってきました。
毎月恒例出雲の荒神谷遺跡博物館での古事記談義の講義ですよ!
今回でついに「大国主」の名前が出てきました!
古事記ではスサノヲの六世の孫ということになっています。
そして彼が初めて活躍するのが有名な「因幡の素菟」伝説ですね!ウサギ!ウサギ!今年の干支ですね!
大国主の兄たちがウサギを見つけたときに、理由も問わずに「おまえ、塩水で洗って風に吹かれてろよ」的なことを言ってウサギはさらにひどい状態になってしまい、後に通りかかった大国主に「おまえ、どうしてそんなことになっているんだ」「真水で洗って、蒲の穂を敷き詰めた上に寝転んで癒しなさい」と言われて見事完治した、という部分。
兄たちは理由も聞かずに、処置も適当だったのに対して、大国主(ここではオホナムヂという名前ですが)はまず理由を問いただしてから、正しい処置をした(=大国主が医療の神様という側面もあるのはここから)という見事な対照性が古事記の仕掛けですね!
また、山田永先生著『「作品」として読む古事記講義』では、兄たちはウサギにわざと間違った処置をした(=意地悪をした)わけではなく、正しい処置を知らなかった(=ちょっとした怪我なら塩水で洗えば消毒になる)だけだとの指摘もあって、なるほどね!と思ったこともありました。
今回の講義では、「知識がなかったのか、悪意的に行ったのかは両方の解釈がある」とのことだったので、さすが藤岡先生は見識が広い御方ですね!と感服いたしました。
大抵いつもこの部分は兄たちの意地悪でやったとだけ説明されるので。
いろんな解釈があって面白いですね!
この後感謝されたウサギに「君は今袋を背負っているけど(=兄たちの荷物もちだけど)、八上比売(やかみひめ)は君を選ぶよ!」と託宣を受けて見事兄たちを押しのけて美女ゲットのコースを進む大国主は皆様ご存知の通りです。
因みにここで袋を背負っていることや、大国が音読みだとダイコクになることから、七福神の大黒様と混同されているというのは結構有名な話。(神仏習合の時代で特にそのイメージが強くなっていったようです)
このお陰で大国主は食物・財福の神様という側面も増えます。(どんどん増える大国主のスキルw)
で。
この後逆上した兄たちに迫害されては華麗に復活を遂げる大国主様ですが、意外な話が一つ分かりました。
大国主の復活をカムムスヒノ神にお願いにいったのは母親の刺国若比売(さしくにわかひめ)ですが、なんと出雲国にはこの刺国若比売を主祭神として祭る神社は存在しないとのことでした!
キリスト教では聖母マリアの位置にある刺国若比売をどうして大国主のお膝元である出雲で祭らないのか。
大変興味深い話ですね!


かなり端折って書いてしまいましたが、今日の講義は大体こんな感じでした。
因みに帰りについでに本屋に寄って伊藤先生の本を物色してみようと思ったらなんと凄い本を見つけてしまいました!!!
えーーーーーーー!!!!!!!
な、な、な、なんとここで何度も書いている私の最愛の考古学者の森浩一先生が「萬葉集に歴史を読む (ちくま学芸文庫) 」なんてタイトルの本を新刊でお出しになっていらっしゃるではないですかああああああ!!!!!
ちょ!森先生が万葉集だって!何てタイムリー!待って!知らなかった!アマゾンちょっとちゃんと私に薦めといてよ!って思って確認したら割と何ページか後のほうにこっそり薦められてました。
いつの間に!(ニューリリース情報もチェックしてるのに!)
で、買 い ま し た 。






・・・・・orz(無言で手をつく)




だ、だって!(だってじゃない)
森先生だし!(森先生は超大御所&人気の先生なので例え一年後でも問題なく手に入ると思われます)
文庫だったから安くて手軽だったし!(同じような本を何冊未読で持っていることか)
あぁ・・・私、何してるんだろう・・・。
因みにこういう万葉集を文学としてではなく、それを使って歴史を読み解く的な本は結構出ていて私も一冊持ってますが、実はちょっと苦手でした。
万葉集はやはり文学として鑑賞するのが楽しくて、伊藤先生と出会ってからは特にその気持ちが強くなっていたのでさらに苦手意識が増大するという。
というのも、万葉集には色々な思いが込められていて、それを史実の確認のために使うというのは何となく抵抗を覚えてきていたのです。
しかし!
森先生ですから!
森先生は他の人とは違うんです!
考古学者なのに文献史学を始めその他の分野にも大変造詣が深い方なのです!
森先生なら間違いない!
というか、森先生のお書きになる内容なら、他の人が書くと無味乾燥な事実になってしまうことさえロマンが溢れていることはもはや確実なんです!
うわああああ!!楽しみすぎる!
ありがとうございます森先生!このタイミングで万葉集関連の本をお書きいただけるなるなんて運命としか思えませんでした!
やったああああああああ!!!!


あ、ちゃんと、図書館の本を優先して読みます。


ちょっと私信
さわ様
その解釈で間違い無いです!w
ウチは伊藤先生の解釈に則っ(たふりをし)て進んでいきます。よろしくお願いします。(何を)
ぴょんぴょん跳ねてる鈴さん超かわいい!!
そして見られてることに気付いて笑顔で阿高に手を振る鈴さん超萌える!!食べてしまいた(自重)
ご馳走様でした!

櫻さま
その説は大変申し訳ございませんでした!&こんな奴ですがこれからも何卒よろしくお願いします(土下座)
そそそ苑上皇女様かわいいいいいい!!!
こっそり待ち受けにしちゃいたいくらいかわいいいいい!!!(←一歩手前でなんとか堪えました)
これからも更新楽しみにしております!

「萬葉のいのち」を読んでいます

「愚者の賦」を読み終わって、次の「萬葉のいのち」を読んでいます。

※スミマセン!下で書いた「萬葉のこころ」はこの本の中の一小節の副題でした!図書の名前は正しくは「萬葉のいのち」でした!お詫びして訂正いたします!※この間から間違いすぎだ私・・・ううう、ごめんなさい

「愚者の賦」は全体を通して伊藤先生の万葉集に対する思いがひしひしと伝わってくる名著でした!
古代文学に対して殆ど知識の無い状態で読みましたが、物凄く興味を持ってしまいました。
さすが伊藤先生!さすが日本古典文学!楽しそう過ぎる!!
ぜひ私も仲間に入れてください!という気持ちになりました。(←おこがましくも)
これからますます万葉集および関連文献の探求に勤しみたいと思います。

そして現在読んでいる「萬葉のいのち」ですが、これは「愚者の賦」よりも更に万葉集の内容についての詳しいお話が書かれています。
その中で大変興味を持ったのが、「かなし」という言葉の説明の部分。
現代日本では「かなしい」といえばもちろん「悲しい」です。
古代でも「悲しい」という表現がされていました。
今月の始めの頃に書いた家持の挽歌にもこの表現がありましたが、意味は現代と同じです。

「ま幸くと いいてしものを 白雲に 立ちたなびくと 聞けば悲しも」

の「悲し」です。
ただ、古代は現代と違って、もうひとつの「かなし」がありました。
それが皆様よくご存知の「愛し」ですよ!
現代では「いとし」といいますが、古代では「かなし」と読みました。
意味は現代とは少し違って愛しいというより「かわいい」というような意味合いで使われていたようです。(というか私はそう習いました)
拍手コメントから頂いた阿苑的萌えを連想してしまう東歌の

「多摩川に さらす手作り さらさらに 何そこの子の ここだ愛(かな)しき」

はまさに代表格ですね!
で。
「萬葉のいのち」の中でこの言葉が取り上げられておりましたよ。
また、同じように恋人に対する思いを表す言葉に「恋し」というのがありますが、これと「愛(かな)し」は明確な使い分けがあるそうです。
先に顕著に分かる例を挙げますので、ご覧下さい。

「愛(かな)し」の例
――高麗錦(こまにしき) 紐解き放(さ)けて 寝(ぬ)るがへに あどせろとかも あやに愛(かな)しき
※訳※高麗製の錦のようなこの子の紐を解き放って寝ているその上にも、さらにどうしろというのか、かわいくって堪らない

ちょww藤太自重ww
藤千の歌ではありません。東歌の一つです。藤千っぽい
続けていってみます。

「恋し」の例
――秋の夜の 月かも君は 雲隠り しましく見ねば ここだ恋しき
※訳※秋の夜の月のような貴女。月が雲に隠れてしまったかのように(貴女の姿が)少しでも見えないとひどく恋しいのです。

もうお分かりいただけたでしょうか。
「萬葉のいのち」の言葉を引用します。

 「愛(かな)し」は肉体的な愛情、いわゆる性愛を表わすことばであって、その点、男女が離れているときの精神的な愛情を示す「恋し」とは対照的であった。

ほほう。先生はかなり直接的な表現をなさってますが、つまり「愛(かな)し」はスキンシップを伴う場合の言葉なわけですね。
で、こうも書かれていました。

 ところが、この「愛し」は萬葉集においてかたよりがある。総数四十数例。そのうち四十例近くが東歌や防人歌、すなわち東国人の歌に集中する。

これを読んで思わず「ちょww東国の人イチャつき過ぎwww」ってツッコミ入れたのは仕方ないですよね!
反対に「恋し」=離れている恋人を思う表現は、東国の人は殆ど使っていないそうです。
好きになったら即アタックですか!
古代東国の人はまるで藤太の様ではないですか!
そして恋が成就したらしたでスキンシップしまくりというわけですね、分かります。
もし本当にそんな風土だとしたら、阿高のような性格は相当浮いてたでしょうね。
でも阿高も東国の男の血が流れているわけだから、鈴と一緒になってからはそれまでの反動があったりなかったりあったりあはははははは!(壊)
風神の草十郎の豹変も納得ですね。
草十郎のチュー好きは東国の男の血が流れている証ですね!ひゃっほー!伊藤先生は萌を分かっていらっしゃる!(誤解)


///////////////
更新しました。
ギャグは書くのが大変楽しいですね!
そしてギャグは阿高悲惨オチが一番たのsがほがほがほ!
というかいつも以上に山もオチもそもそも意味も無い話でスミマセンでした!
次はもう少し・・・何とかオチくらいはある話にしたいです。(希望)

終わり間近

読書モードに入ると途端に日記の頻度が落ちる兼倉です。
もし万が一この日記の更新を気にしてくださっている奇特で心優しいお方がおられましたら大変申し訳ございません!(いや、思い込みだとは思ってますが、ね、念のために!)
本を読むのは大変好きなのですが、読む速度が非常に遅いため中々進めません。
昔、私の本を読む速度があまりにも遅いため、友達から「お前が京極を読破するのは一生無理だ」とからかわれたことがあります。よ、余計なお世話だ!(実際読んだことは無いですが)

で、「愚者の賦」をまだ読んでいます。
やっと終わりが見えてきました。
あとがきまで含めて全部で299ページですが、現在261ページまで読み終わりました。
あとちょっと!

※因みに下の記事で「Ⅰ随筆」としていたのは「Ⅰ随想」の誤りでした。
後ほど修正しておきます。
あしからずご了承下さい。※

今読んでいる内容と致しましては「Ⅱ書評」を終えて「Ⅲ講演」の全3項目中2項目めまでを読み終えました。
まず「Ⅱ書評」についてですが、大方は前の記事で書いているので省略するとして、全体を通してかなり兼倉殺しの章でした!
だって紹介されてる本全部欲しくなってしまうんですもの!(兼倉破産フラグ)
どんなに辛口でこき下ろされていようとも(←ホントに結構凄い批評がされているものもある)、興味を持たされてしまうのは流石は伊藤節と言ったところでしょうか。
伊藤先生はホント罪なお方だ・・・!
お金が貯まったら少しずつ集めたいと思います。
また、本書の中で以下のようなことを述べられていて、はっとさせられました。

――「批評」は常に生産性に参与するものでなければならぬ。そのためには批評は「肯定」の精神を根底に置くべきである。「ある対象を批判することは、それを正しく評価する事であり、正しく評価するとは、そのあるがままの性質を、積極的に肯定することである」とは小林秀雄の言葉であるが、味わうべきものがある。

この文章を念頭において見返してみると、先生がかなりキツイことを書いておられるものは、少なくともその当時それを書いた人が「生きていた」場合に限られていたことに気付きます。
優しい書き方をされている書の殆どは、著作者の方が既に鬼籍に入っておられました。(一人例外もおられましたが、それはその文章を発表された場に拠るものと思われます。=批評よりも宣伝を目的とするような場)
考えすぎといわれればそれまでかもしれませんが、私はここに伊藤先生の学問に対する厳しさと先達に対する畏敬(恭敬?)の姿勢を感じました。
普通生きている人に対しては誰しも筆を緩めてしまうものだと思います。
逆に死人にくちなしではないですが、すでに亡くなられている方に関しては多少の私見を披露したところで、相手から文句を言われる恐れも無いはずなのです。
それを伊藤先生はなさらなかった。
相手の更なる向上と、その先の学問の発展をひたすらに願って、あえて忌憚ない意見を述べられたのでしょう。
普段相手との衝突を避けて可もなく不可もなくの話しかしなくなっていた自分が恥ずかしく思いました。
伊藤先生の著書は万葉集目的で読み始めたのですが、それを越えて普遍の内容が詰め込まれています。
出会えて本当に良かったと思いました。

そして現在読んでいる「Ⅲ講演」ですが、これは前章までの「文章として書かれた文章(=文語調)」と違って、先生が講演された内容が、「話し言葉(=口語調)」そのままに収められています。
読み進んでいくごとに、まるで紙面の中で先生が拳をふるって熱弁なさっている姿が目に浮かぶような、熱気の漲った文章となっています。
読んでいて大変胸を熱くさせられますよ!
そしてますます万葉の世界に惹き込まれていきますよ!
うわあどうしよう!(手遅れ)

恐らくは明日中には読み終わると思います。
といっても読み終わったらまた次の本があるわけですが。
この本だけで6日掛かってしまったことになりますが、図書の貸し出し期間が二週間で残り9日(返却日を含めて)で後3冊というのは、単純計算しても全く間に合いません。
え、どうしよう・・・(ゾ)
が、頑張ろう・・・!

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