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荻原作品と万葉集~「空色勾玉」旅人の…(概要)

ものすごくゆっくり更新にもかかわらず拍手をくださるお方がいらっしゃることに感謝の涙を禁じ得ない兼倉です!
こんばんは!
特に16連パチのお方とフォウ連パチのお方はきっと私に何かしら伝えたいことがある気がしました!フォウフォウ!(「生きているのか、兼倉」的な)

それではさっそく続きです!
今度の歌は空色勾玉の第五章「影」の冒頭につけられた歌です。

旅人の 宿りせむ野に 霜降らば
 ()が子()ぐぐめ (あめ)鶴群(たづむら)(遣唐使随員の母)

旅人が仮寝をする野に霜の降る夜には、どうか我が子を羽で包んでやっておくれ。天翔り行く鶴の群れよ。(訳:伊藤博)

古語ですが意味が分かりやすい歌ですよね。
辛い旅をする我が子を思う母親の優しい気持ちがあふれている素敵な歌です。
実はこの歌は前にある長歌の反歌なのですが、長歌からこの母親には子供が一人しかいないということが分かります。
遣唐使に選ばれるのはかなり秀でた人たちだったはずなので、選ばれること自体は非常に名誉なことですが、やはり母親としてはたった一人の我が子を死ぬかもしれない旅に出すということは非常に辛いことだったでしょう。
当時の旅は辛いものだったということはいろんな記述からわかりますが、とりわけ海を渡って外の国にいくという旅は相当危険なものです。
そんな旅に一人息子を送り出す母の、ただただ無事と安息を祈る歌なのです。

さて、この歌を冒頭に冠する第五章「影」がどんな内容だったか覚えておられますか?
おそらく多くの方が衝撃的な印象と共に覚えておられるでしょう。
前章での怪我から立ち直った稚羽矢は明星と共に一日中駆け回ったり狭也を松虫草の咲いている窪地に誘ったりして束の間の安息を得ます。
しかし、進軍途中で再び襲ってきた国つ神によって明星や柾が死に、さらには少女に扮した照日王によって奈津女が殺され、ついに稚羽矢は暴走して姿を消してしまいます。
狭也はぎりぎりの状況で稚羽矢を見放してしまった自分を責め、伊吹王の遺言と岩姫の助言を胸にもう一度稚羽矢に会う決意をする・・・というのがあらすじです。
この章はたくさん名言があって読み返すとついつい夢中になってしまいます。
万葉集のこの歌と合わせると、より一層感情移入してしまいますね。
この「旅人」とはいったい誰を指しているのか。
傷ついて一人海の底に沈んでいた稚羽矢のことなのか、それともそんな稚羽矢を探すために旅立つ決意をした狭也のことなのか、または女神のもとへ旅立った人たちのことなのか、狭也に振られて衝撃を受ける科戸王のことな・・・わけはないか。(科戸は私がぜひ羽ぐk・・・ガハッ)
いろいろ考えても胸が締め付けられます。
それではもはや恒例ですが、次の補足でこの歌を少々詳しく見てみたいと思います!

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