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お返事します

りんこさん

入魂の全チェックありがとうございます!

>こ、こ、こ…でリズミカルというのを読んで、谷山浩子さんの恋するニワトリを思い出しました
>確かに楽しく口ずさんでしまう歌です 
>♪コーコ コココーコココ コーコ コーコココ 恋は恋は恋♪


CD持ってます!
すごくかわいい歌ですよね。
万葉時代の歌は音だけで人に伝わりやすいようにする工夫や努力が非常にたくさんあって、それは今でもいろんなところで活かされているともいえるかもしれません。

>相手を本気で怒っているのではなく「うふふっ」ってことですね

坂上郎女の歌の方がより一層そういうイメージになってます。
当時恋人だった男性に、今夜は行かないよと言われてしまったという場面(を想定して?それ)に応えた歌です。

来むと言ふも 来ぬ時あるを 来じと言ふを
    来むとは待たじ 来じと言ふものを

「来る」と言って来ない時があるあなたが「来ない」って言うんだから、来るかもなんて期待しないわ、「来ない」って言うんだから。
恋に手慣れた大人の女性の余裕が滲み出ている気がします!

>こ、こ、こ…といえばもう一つ、子供の頃よく母に「こっことしんせー(さっさとしなさい)」と怒られていました
>それに対して父が「ニワトリになっておわりょーる(追い立てられている)ようじゃ」と言ったのが
>わたしの中で思わずくすっとなる思い出です(広島弁です、いや「こっこ」が広島全体なのか狭い地域なのか母だけなのかは謎です)
>脱線してすみません


去年まで住んでいた因幡でよく「なんしょーる(何してるんだ)」と言っているのを聞いてました。
因幡と広島は言葉がとても近い気がします。(広島には従兄妹がいるんです)
地理的には伯耆の方が近いのに、言葉は因幡の方が近いのは面白いなと思っています。
各地の方言を聞くのがとても好きです。
私が使う言葉でないものでもすごく感情がこもっている気がして、胸にぐっときます。
文字ではなく、音で聴くとより一層そんな気がします。
ちなみに私も子供の頃母によく「さっさとすーだが(さっさとしなさい)」と怒られていました。
土地が違っても母親の言っていることは同じなのだなと不思議な気持ちになりました(笑)

>楽しい語りをありがとうございます

いつも楽しいコメントを本当にありがとうございます。
サイトの管理人冥利に尽きます。
これからRDGを読んでいこうと思っているので、りんこさんのブログのRDG情報にも大注目です。
ツイッターやブログでいろいろ交流したいです、よろしくお願いします。

見て下さっている方々もありがとうございます。
消費税対策と称してまた大量の本を買ってしまったので、それらをちょっとでも活かした更新をしたいものです(遠い目)

【補足】荻原作品と万葉集~「RDG」梓弓…

続きの前にお返事です!

りえさん

>兼倉さん、こんばんは。
>回復なさったようで、本当によかったです。
>ご無理なさらず、続きも心待ちにしています。


ご心配して下さってありがとうございます!
回復と同時にノリノリで更新しております!
ライフワークといえるくらい長く気ままに続けられたらいいなと思っておりますので、気楽にお付き合いいただけたら嬉しいです!
りんこさん
>風邪は全快しましたか?
>こちらでは暖かくなって桜も一気にほころんできました
>よき春になりますように


完全に山は越えたのでもう大丈夫です!
こちらでも先日桜の開花宣言があったばかりです。
予報では数日以内に満開になるとか…。
次の日曜日に友達と花見の予定なのでちょっと残念ですが、早く暖かくなってくれるのはとてもありがたいです。

>梓弓の歌は、はっきりしろこのヘタレが!という歌ですよねヾ(・ε・。)ぉぃぉぃ
>「ちょっと変」の真実を楽しみにしています


真実かどうかは荻原先生のみぞ知る…というところですが、それでも精一杯探ってみたいと思っております。
荻原先生に解答をもらえる日は来ないでしょうが、ここをご覧くださる一部のオギワラーの方々に何か感じてもらえるものが書けたらいいなという気持ちです。


それでは続きです!

梓弓 ()きみ(ゆる)へみ ()ずは()ず ()()()()ぞ ()ずは()()

梓弓を引いてみたり緩めてみたりするようにやたら気をもませて……。来ないなら来ない、来るなら来るではっきりさせて下さい、それを何ですかまあ。来るとか来ないとかやきもきさせて、何ですかまあ。(訳:伊藤博)

この歌、パッと見た感じどう思いましたか。
人それぞれとは思いますが、たぶんその中の幾人かの方は「来」をたくさん繰り返しているなあ・・・と思われたのではないでしょうか。
この時代はまだ文字があまり普及していません。
人々は漢字の意味よりも「音」が重要なのです。
この歌は、実は「音」を使って遊んでいる歌です。
「こ」「こ」「こ」「こ」と、何度も同じ音を使ってリズミカルに歌っているんです。
煮え切らない相手を責めている内容にしては、言葉が妙に弾んでいる気がするところが「ちょっと変」かもしれません。
こういうリズミカルな歌は、相手に気持ちを伝える歌というよりは、みんなで歌って盛り上がるための歌、つまり「宴の席での戯れ歌」という指摘をされることが非常に多いです。
万葉集をよくご存知の方は坂上郎女の歌に似たように「来」を繰り返して似たような内容のものがあるのをご存知でしょう。
あの歌はおそらくこの歌を知っていた上で作られたと思いますが、やはり本気ではなく「戯れ歌」と解するのが適しているという評価が多いです。

また、この歌も前の「天地の~」の歌と同様「寄物陳思」という分類の中に登場する歌です。
全部で三首の歌群になっていて、「弓」に寄せた歌の中の最後の歌になっています。
せっかくなので、三首続けて見てみましょう。

1.梓弓(あづさゆみ) (すゑ)のはら野に ()(がり)する 君が()(づる)の 絶えむと思へや

2.葛城(かづらき)の 襲津(そつ)(ひこ)()(ゆみ) (あら)()にも 頼めや君が 我が名告(なの)りけむ

3.梓弓 ()きみ(ゆる)へみ ()ずは()ず ()()()()ぞ ()ずは()()

1.末の原野で鷹猟(たかがり)をする我が君の弓の弦が切れることなどないように、二人の仲が切れようなどとはとても思えない。
2.葛城の襲津彦の持ち弓、その材の新木さながらにこの私を信じきって下さった上で、あなたは私の名を他人に明かされたのでしょうか。
3.梓弓を引いてみたり緩めてみたりするようにやたら気をもませて……。来ないなら来ない、来るなら来るではっきりさせて下さい、それを何ですかまあ。来るとか来ないとかやきもきさせて、何ですかまあ。


二首目は、当時男性が恋人の女性の名を他の人に明かしてはならないという禁忌をどうして犯したのかという内容です。
すべて女性の立場から男性に歌いかけている歌ですね。
この歌群を調べていて、おもしろい指摘を見つけたのでご紹介します。

以上三首は、狩猟の場において詠まれた歌である可能性もある。
その立場から見れば、歌の作り手はすべて男であったかもしれない。
一首目・二首目における比喩表現の特殊性は、本日の狩猟のさまを争って語り合った男たちの口吻を投影しているがごとくにも見える。
三首目の上二句も、狩猟前の弓の用意に従う男たちのさまを思う時、妙に落ち着くように考えられるが、いかがなものだろう。
戯れ歌が宴の場に深く結びつくことはいうまでもない。


伊藤博さんの指摘です。
いわれてみれば、普段弓を扱うことのない女性が詠んだにしては、弓の比喩表現がリアルすぎて「ちょっと変」かも・・・?
さて、真実はどうなのか。

いかがでしたでしょうか。
荻原先生が作品に引用された万葉歌に、少しでも新しい興味や魅力を感じていただけたら幸いです。
予定していた万葉歌の紹介は以上ですが、最後におまけとして「〈勾玉〉の世界」の中の「潮もかなひぬ」のという題名のもとになっていると思われる額田王の歌をご紹介して終わりにしようと思います。
あと少しだけお付き合いください!

荻原作品と万葉集~「RDG」梓弓…(概要)

風邪はずいぶんよくなりました!
ご心配下さったりえさん、Sちゃん、りんこさん誠にありがとうございました!
私が寝ている間にもフォウ!チェックや10連パチなどくださった方々にも心より感謝申し上げます。
書きたいことを好きなように書いている自覚は大いにあるというのに、存在を忘れられていないと思えることの心強さよ…(体調を崩すと気が弱くなっていけません)


さっそく続きを始めます!

梓弓 引きみ緩へみ 来ずは来ず 来ば来其を何ぞ 来ずは来ば其を

梓弓を引いてみたり緩めてみたりするようにやたら気をもませて……。来ないなら来ない、来るなら来るではっきりさせて下さい、それを何ですかまあ。来るとか来ないとかやきもきさせて、何ですかまあ。(伊藤博)

この歌も前と同じく1巻の終盤に深行と和宮の前で舞ったシーンで出てくる歌ですね。
これもやっぱり「ちょっと変」という理由で荻原先生に選ばれた歌です。
この歌はどこが「ちょっと変」と思いますか?
前回は同じ記事ですぐに「ここがちょっと変みたいです」ということを書いてしまいましたが、今回はちょっと間をおいてこの記事を読んでくださっている方にも私と一緒に考えていただけたらと思います。

次の更新を3月30日(日)にしようと思います。(時間は何時になるか分かりませんが、おそらく午後以降になると思います)

それまでこの歌のどこが「ちょっと変」なのか考えてみてください。
変ではなくても、何だかここが気になる、みたいな感覚でも十分です。
正解はありませんから、いろいろ自由にお考えください。
また、もし思いついたことを私に教えていただければ、それを一緒に検討してみます!
Web拍手から、よろしければ是非。
結構めちゃくちゃかも、みたいなご意見であっても取り入れていく方針ですのでお気軽に。

それにしても私はすごく気になることがあります。
荻原先生はどうしてあのシーンで「ちょっと変」な万葉歌を挿入されたのか。
荻原先生なら「まさにこれぞ!」みたいな歌もご存じだったと思うんです。
和宮という神霊を慰撫するような歌とか、挽歌のような鎮魂を目的にした歌とか。
どうしてそういう歌ではなく「ちょっと変」な歌なのか。
そのあたりについても考えてみたいなあとぼんやり思っています。

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