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苑上が笑った理由

続きの前に・・・!
スミマセン、こんなことばっかりやってて!
しかし書いておきたかったので!

読んでて引っかかる箇所が出てきました。
まずは引用します。
場面は藤太が怪我をしたとわかる直前。
苑上が賀美野をかばって闇に立ち向かい、あわや、というところで阿高に救われたところです。

とたんに火柱が落ちた。
これほど間近に落ちては、音がしたというよりは殴りつけられた気がした。
苑上も賀美野も足をすくわれて尻もちをつき、しばらくは目の前に斑点がちらついた。
気がつくと、物の怪の姿はなかった。
そのあたりは一帯焦げついて煙を上げ、通廊のまん中が消失している。
そして、焦げ跡に立っているのは阿高だった。
彼の体はわずかに輝いて見えたが、それもまばたきを何度かするうちに消えた。
後は苑上のよく知っている、衣に焦げを作った若者だった。
阿高は自分がどこにいるかわからないようにあたりを見回し、苑上を認めると、さらにけげんな顔をした。
「そんなところで何をしている」
「あなたは助けないといったくせに」
苑上は小声でいった。
「あいつをやっつけるといったはずだろう。あと一歩だったのに」
腕で顔をこすって阿高はいった。
苑上はぼうぜんとしていたが、やがてくすくすと笑い出した。
苑上がいつまでも笑っているので、阿高は顔をしかめて近づいてきた。
「何がおかしいんだ。こんな火の回りそうな場所に座って、ただ笑っているやつがあるか」
「ええ、ここからつれだして。わたくしたちを助けてくれるでしょう」
苑上は、怯えてしがみつく賀美野をなだめるようになでた。
そして若者を見上げた。
「わたくし、あなたを信じられる。それといっしょに、皇のことももっと信じてみたいと思うの。阿高、あなたには都の父上に会ってほしい。そして、あなたが救いかどうかをはっきりさせましょう」(文庫下p.227)


ここ。
苑上はなぜ笑ったんでしょうか。
この直前では、苑上は闇に果敢に立ち向かっています。
「そこをおどきなさい。阿高のおかげでのうのうと現れて、恥ずかしくないの」
とか(※仲成の結界を阿高が解いたので闇も出てこられたことを指しています)
「この子は、あなたの仲間にはならない。わたくしが誇りにかけてそうさせない。たとえあなたがわたくしたちの一部でも、それが全部ではないのよ」※これ凄く格好いい台詞ですよね!
とか、大変威勢のいいことを言い放って、後ろに賀美野をかばいながら闇に小太刀を向けています。
とはいえ闇に剣は役立たないと思い出してすぐにひるんでしまうんですが。
そんな緊迫した場面の次にこの場面がくるので、とても対照的です。
緊張が解けたから、苑上は笑ったんでしょうか。
いや、そんな理由では腑に落ちません。
苑上は何がおかしくて笑ったのか・・・。
これをお読みいただいているあなたさまは、どう考えますか?
私はここがまったく分からず、実に10回くらい読み返してみました。
とりあえず、こうかな?みたいなことを思いついたので書いてみます。

苑上は「怨霊」=「皇」と考えているので、阿高が怨霊を倒すことは皇を倒すことにも繋がると考えていました。
「味方ではないといいたいのね」と確認もしています。
苑上は阿高が味方ではないということを強く肝に銘じています。
また、仲成はそういう阿高を完全に皇の敵として殺そうとしていました。

「あなたも皇なら、彼らが一網打尽になったことを喜ばなくてはなりません」
苑上は必死でかぶりをふった。
「いやよ。そんなのいや」
「まだおわかりでないのですか、あの者たちが災厄である理由が。皇は非を告げられてはならない。それがどんなささいなことであっても、あってはならないのです」※非=怨霊の正体が皇の業であること
「だからあの人たちを消すの?それではわたくしたちは、どんなものより闇に近いわ」


苑上も仲成も皇を倒すかもしれない阿高をいくらかの恐れをもって見ていました。
苑上はもしかしたら、阿高が怨霊を倒すことで皇は阿高から裁きを受けるとでも思っていたかもしれません。
しかし

「あなたは助けないといったくせに」
「あいつをやっつけるといったはずだろう。あと一歩だったのに」


苑上にとってはこれほど矛盾した回答はなかったのではないかと、ふと思いました。
阿高は苑上や賀美野を助けることと怨霊を倒すことが同時に成り立つことだと簡単に考えているようです。
阿高としては、「おまえたちを助けたわけじゃなく、ただ怨霊をやっつけようとしただけだ」と言ったつもりだったことでしょう。
私も始めはそうとしかとっていませんでしたが、苑上にとってはそんなことは関係なかったのかもしれません。
一歩間違えば、阿高に怨霊と一緒にやっつけられてしまってもおかしくないとずっと思っていたのに。
阿高には怨霊を倒すという意志しかなく、苑上たちは助かったって別にいいということのようです。
それが分かって、苑上は笑ったのではないかなと思いました。
ずっと阿高が皇にとって災厄になるかもしれないと思って恐れていたのに、当の阿高には苑上たちを害そうという意志は全然ないんです。
阿高にはまったくその気がないのに、苑上たちが勝手に恐れていただけなんです。
考えてみれば阿高はもう何度もそう言っていたのに。
いざそういう状況になって、やっと苑上は気づいたので笑った・・・のかな?
以上を踏まえて私なりに補完してみると以下のような感じです。

「あなたは助けないといったくせに」
苑上は小声でいった。
「あいつをやっつけるといったはずだろう。あと一歩だったのに」
腕で顔をこすって阿高はいった。
苑上はぼうぜんとしていたが、やがてくすくすと笑い出した。

(阿高には皇を裁こうなどという意思はない。わたくしたちが勝手に怖がっていただけなのだわ。阿高は始めからそういっていたのに。あんなに大勢の大人たちが束になって、必死に阿高を食い止めようとしていたなんて、なんて間抜けなのかしら)
苑上がいつまでも笑っているので、阿高は顔をしかめて近づいてきた。
「何がおかしいんだ。こんな火の回りそうな場所に座って、ただ笑っているやつがあるか」

(阿高は災厄ではない。怨霊をやっつけて、同時にわたくしたちを救うこともできる人だわ。少なくとも、今わたくしと賀美野は救われた。阿高は気づいてない、自分がどんなにすごいことをいったかなんて。本当にすごいことなのに。・・・藤太も、阿高がわたくしを女と気づいていない様子を見ていて、ちょうどこんな気持ちだったのかしら)
「ええ、ここからつれだして。わたくしたちを助けてくれるでしょう」
苑上は、怯えてしがみつく賀美野をなだめるようになでた。
そして若者を見上げた。
「わたくし、あなたを信じられる。それといっしょに、皇のことももっと信じてみたいと思うの。阿高、あなたには都の父上に会ってほしい。そして、あなたが救いかどうかをはっきりさせましょう」



上の青いところが私の挿入部分なわけですが、なかなか納得いかなくて何度か書き換えています。
まだなんだかおかしい感じなんですが・・・私の思ったことは伝わっているでしょうか?



あ!5日の22時台に拍手を下さった方ありがとうございます!
こんな途中で横道にそれたことばっかりしててホントにスミマセン・・・!
気になるとそこから先に進めなくなる典型的国語オンチの人間です・・・orz
よろしければ何かご意見をいただければとても嬉しいです。
っていうか、こんなところに引っかかってるの私だけかもしれない。
いろんな感想サイト様をみてきましたが、こんなところでつまずいている方は一人も見たことがありませんよ・・・。
私はやっぱりダメなのか・・・。
挙句の果てに妄想補完するしかないとか・・・どうすればいいのか。
こんなダメサイトに拍手を下さって本当にありがとうございました!

今日帰宅してきてからの行動

今日帰宅してからの行動記録です。

夜7時過ぎに帰宅
・早ければ今日Rieさまの本が届くよ・・・!
・でも雪が降ってるし同じ県内でも発送から4日掛かることもあるから期待しすぎないようにしよう・・・。
・そういえばこの間静岡県の業者さんから購入したメール便商品は発送から2日後に届いたけど夜中9時到着だったから、今日届くとしてもまだ到着していないかもしれない。


扉に引っ掛けられたクロネコメール便袋発見
・キテタアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

喜び勇んで階段をスキップで上る
・痛ァァァ(足をぶつける)・・・くないよ!(強がる余裕がある)

いつもより丁寧に封を開けて写真撮影→ツイッターに投稿

とりあえず本棚の右上のスペース(宝物展示用)に展示

喜びのあまりずっと取っておいた一番大きいサツマイモを取り出してレンジでチンする
※とっておきの酒を開ける、のイメージで

サツマイモを食べてからパソコンに向かう
・このまま読み始めたら他が手につかなくなるのは目に見えている

途中になっていた考察もどきを進める
・阿高阿高阿高苑上苑上苑上藤太

考察もどき行き詰る→本棚右上が気になりだす
・どうしよう・・・どうしよう・・・いや、ダメだ!
・……3行だけ読んで戻すのは許そう(自分に甘い)


開封

便箋のもったいないお言葉に涙がちょちょぎれる

表紙の黒い和紙を触ってみる
・や、やわらかい・・・!狭也にまとわりついた闇はきっとこんな感触だったんだ!
・ところどころの透かしがまるで星屑のようだ・・・闇の道や黄泉比良坂はこんな感じだったんだろうか・・・


妄想に浸る

はっと我に返って表紙をめくる
・おお!まるで狭也が遊んだ池の湖面に波紋が広がっているようだ!

また妄想に浸る

はっと我に返って中表紙をめくる

目次だけですでにテンション急上昇
・さ、3行だけだよ自分!3行だけだよ!(言い聞かせる)

本文を開く

気づいたら熟読

はっと我に返る
・3行と30ページは誤差の範囲内さ(言いはる)

危機感を覚えたためそっと閉じて袋に入れもどす

でも本棚には戻さず傍の本タワー(積読本の山)にそっと立てかける<イマココ!



自分との戦いです。
やりたいことがたくさんあるとどれを先にすべきかという、大変幸福な悩みが生まれるわけです。

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