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官能部部誌感想その二

官能部部誌その2の感想つづきです。
相変わらずネタバレなので畳みます。

官能部部誌感想その二@糸村和奏さん

<ひとつになれない幸福>

エッセイのような、小説のような、不思議な形式の作品でした。
和奏さんのブログによると、梨木香歩さんの「沼地のある森を抜けて」という作品の影響が大きいそうですが、私はこの作品を読んだことがないのでご存知のお方は和奏さんの作品を読んでどのようにお感じになったのかぜひお聞かせいただきたいです。
私が初読で感じたのは、明確な起承転結や佳境はなくて、まるで軽くデザートを食べるような感覚で味わいながら最後の一口を飲み下した瞬間に、あれ?私いつの間に食べ終わってたの?
気づいたら夢中で貪っていたということを読み終わって初めて気づくんです。
すごく不思議な感覚です。
比較的短い作品でしたが、和奏さんの実験的な試みが大変興味深い仕上がりだったと思いました。

目に映っているのはゆっくりと蠢くつむじ。

開始二行目でこの一文。
いきなり度肝を抜かれた気がしました。
官能というか、もう、エロい(直球)
つむじが見えるってすごく近い距離なんですが、主人公の顔よりは相手の頭が下にあるということですからね。
しかもそれが蠢いている。
何てことだ…何てことだ…(落ち着け)
もうこの一文は商標登録したらいいと思いますね。
出てくる単語の一つ一つは健全そのものなのに、組み合わせるとこんなにも官能的になってしまう。
出てくる二人は大変爽やかな透明感を感じさせられましたが、二人がお互いへ抱く感情は切実な官能と愛情というのが堪りません。
ひとつになりたいと渇望しながら、一方で、別々の個体だからこそ相手から優しくされて嬉しかったり、抱きしめようとか囁き合おうとかそんな楽しみで胸を躍らせたりできるという幸福感でいっぱいになる主人公が大変可愛らしくて、この作品を読めてよかったと思いました。

続きはまた後日!

官能部部誌感想その一

忙しい年の瀬、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
長いことお返事関係以外で日記を書いていなかったら、日記の書き方をすっかり忘れてしまっていたようで、書き出しを考えるだけで30分くらい浪費してしまった兼倉です。(なんてこった)
書きたくなったら書けばいいなんていうのは文章作成が神レベルに慣れている人にだけあてはまることで、そうでない凡百の民たる私のような人間は、無理にでもある程度定期的に文章を書いていないと恐ろしいほど文字が出てこなくなってしまうというのを身をもって実感しました。
今後はもっと日記を書きたいと思います。

そんなわけで!
「官能部部誌その2」
の発行を記念して感想を書かせていただきます!
まだ手に入れておられない方は先に上記のリンクからどうぞ。
ネタバレ部分を含みますので、以下畳ませていただきます。

官能部部誌感想その一@渡部ひのりさん

<過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜の 君と絡める指先凍え>

部誌の巻頭に飾られていたのは渡部ひのりさんの現代和歌でした。
まず、直接夏とせずに「猛き季節」と表現しておられるところに注目しました。
ただの季節としての夏が過ぎたのではなく、夏にこの二人の間に猛るような何かが起こったことを暗示している気がしたのです。
もしかして、二人の関係(恋)が始まったのが夏だったのかも。
猛る思いが生まれた夏から季節は移り、冬、二人の関係は少しずつ縮まってきている。
寒いけど、でも相手に直接触れたくて凍えるのを承知で手袋なんかしないで素手で手をつないでいるのでしょう。
いいなあ!こういうの!初々しい必死さに私は萌え狂いました。まあ完全なる私の妄想なのですが。(知ってます)
また、和歌は言葉が少ない分、ほんのちょっと言葉を変えるだけで雰囲気がガラッと変わるのが魅力の一つであると思っています。
いくつか見てみましょう。

「過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜の 凍える指先君と絡める」
「過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜に 凍える指先君と絡めた」
「過ぎ去りし 猛き季節を偲ぶ夜 君と絡める指先凍え」
「過ぎ去った 猛る季節を偲ぶ夜は 君と絡める指が凍えた」

どうでしょう。
結構違いますよね。
実は私の祖父も和歌を嗜んでいるのですが、和歌を詠む人はあの短い言葉を編み出すのに、裏でかなりの推敲を重ねています。
松尾芭蕉なんかも弟子に何度も相談していたという記述が残ってますね。
数限りなく存在する表現の中で、詠み手の方がなぜこの言葉をこの順で選んだのか、自分でいろいろ読み替えて比べてみるとさらに和歌の味わいが増すとともに、詠み手の方のこだわりや個性が見えてきてさらに面白いのではないかと思います。
渡部ひのりさんがこの和歌を編み出すのにどのくらい推敲をされたのか、または一発でこれしかないと思い定める言葉だったのか。
ちょっと聞いてみたいですね。
私自身は歌詠みではありませんが、自分の文章でもこだわる個所はかなり推敲を重ねますし、またその作業がすごく好きです。
何度も推敲を重ねた結果結局初めに書いたものを採用することも多々ありますが(苦笑)、推敲している最中は自分の中のすごくすごく深い部分を探っているような気がして面白いんです。
みなさんはどうですか?

長くなってしまったのでいったん切ります。
続きは明日にでも!

ご無沙汰しております&お返事です・その348

8月にいただいたコメントにまだお返事をしていなかったという極悪人の日記はこちらです・・・!(ドゲザァ
本当に、スミマセン!

りえさん

こんにちは! ゆるりと参りましたよ!!
いま仙台の実家にいます。雨ばかりで寒いです。
夏って感じがぜんぜんしないなあと、アジサイを眺めながら思っています。
それでは~


8月でも仙台は雨が降ると寒いのですか!
っていうか、8月の話題に11月に食いついてスミマセン!(滝汗)
埼玉もきっとそろそろ寒さが増している時期ですよね。
先月お会いした時はいろいろなお話ができて本当に楽しかったです。
あの時りえさんが話された疑問をその後他の人たちにいろいろ聞いてみました。
人によってさまざまな意見を聞くことが出来たので、今度何かの機会にご報告させていただこうと思います。
りえさんのゆるさを心から愛しています(本気(マジ)
ぜひまた!
Junさん
チェック項目が変わっている・・・
相変わらず秀逸です!


バレましたか!
ひっそり変えましたが、変えたのがいつだったのか記憶が定かではないくらいのひっそりっぷりでした。
ファイルを確認してみたら、どうやら今年の4月くらいだったみたいです。
楽しんでいただけてよかったです!

待ってました夫婦の日!
好きになったら一直線な藤太が愛おしいです。
口先ではぶつぶつ言いながらも当然のように協力する阿高も大好きです!


ツイッターの方でも食いついていただけて嬉しかったです!
さすがは藤千同志(と私が勝手に認定している)Junさん!
藤太はどうやって千種が好きだと気づいたのか、気づいてどう行動したのか。
伊勢阿高の鈴への感情を考えていると、同じように藤太の千種への感情がどう変化していったのか気になってしょうがないです。
阿高はきっと文句を言いながらも、日下部の鼻を明かすチャンスは逃さない血の気の多い男だと思うので、藤太の恋がどうなるかは二の次で(酷い)協力することに関しては結構積極的だったでしょうね。
最終的な嫁盗りの時の阿高の心情が、鈴という存在を得てこの時とどう変化したかもやはり気になります。


転職したことでいろいろ考えるようになっている今日この頃です。
一度しかない人生で、やはり一度くらいは大きな賭けをしてみたいような、やっぱり慎重に安定志向で生きたいような、などなど。

あと、買いためた本を少しずつ読んでます。
・「万葉の人びと」犬養孝(新潮文庫)※まったりした語り口の根底に堅実な実績。
・「わたしの萬葉百首 上巻」犬養孝(ブティック社)※下巻は読みかけ
・「万葉恋歌」永井路子(角川文庫)※学者さんと違って洞察の仕方が面白い。
・「万葉集の恋うた」清川妙(中経の文庫)※ちょっと合わなかったけどこういう気楽な読み方もいいのかも。

このあと読もうと思っているのが
・「万葉秀歌鑑賞」山本健吉(講談社学術文庫)
・「萬葉のあゆみ」伊藤博(塙新書)
・「万葉秀歌」斉藤茂吉(岩波新書)
・「ビギナーズクラシック日本の古典 万葉集」(角川ソフィア文庫)
・「万葉の秀歌」中西進(ちくま学芸文庫)
・「万葉名歌」土屋文明(教養文庫)
・「万葉集観賞事典」神野志隆光(講談社学術文庫)

去年古事記メインといいながらも隙間にちょっとずつ読んだ万葉集関連の本が
・「愚者の賦」伊藤博(集英社)
・「萬葉のいのち」伊藤博(はなわ新書)
・「万葉仮名で読む『万葉集』」石川久楊(岩波書店)
・「萬葉集に歴史を読む」森浩一(ちくま学芸文庫)

去年はこれらの本以外は全部万葉サークルでいろいろな知識を得てましたね。
今はほとんど行けなくなってますが、ほんの少しでも行ける余地があるときは顔を出してたりします。
これ以外にも読もうと思っている本の一覧に載せてない「いつか読もう」「これは辞書として使おう」「眺めて楽しもう(画集)」みたいな本も大量に買い込んでしまって本棚がすごいことになってます。
久松潜一さんの「万葉秀歌(一)~(五)※途中で久松さんが亡くなられたので未完」とか、コレクション日本歌人選の万葉関連やアイヌ神話とか、入江泰吉さんの「万葉の花を訪ねて」「新古今の花を訪ねて」とか、犬養孝さんの「万葉の旅」シリーズとか、伊藤博さんの「萬葉集釋注(一)~(十)」とか(これは絶対いつか全巻読了したい。万葉集の歌すべての解説書)、岩崎ちひろさんの挿絵が描かれた「万葉のうた」という絵本も素敵ですし、古今和歌集や新古今和歌集や百人一首や梁塵秘抄の本もちょっとずつ買ったのでいつか読みたいし、そもそも古事記や古代史関係の歴史の本も読みたいし、とにかく隙間を見つけて少しずつ読んでいこうと思ってます。
間に気分転換と称して小説を読んだりもしてますが(笑)
新しい環境にかなり四苦八苦してますが、今出来ることをやりきろうと思います。

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